第2話 触れ合いたいのに拒んでしまう。

私、兼藤幸也は昨日で24歳になった。

毎日の生活ルーティンはこうである。

朝の六時に起きたら、鶏が鳴くころに卵を収穫、生は怖いのでIHでしっかりと熱を通して、自家製の納豆と乾パンで食べる。飲み物は水だけ。たまにコーヒーを飲む、インスタントだけど。

周囲の天気を確認したら、電動バイクを充電して食料を確保するために少し遠出。

パッケージされたお菓子は宝物だ。賞味期限なんて関係ない。

ペットボトルの飲料物もなるべく持ち帰る。缶詰は家にしこたま貯めてある。

周囲の道には三年前くらいまでは色々死骸が転がっていたが人間のはなかった。

一応自分の尊厳としてまだ他人の家には侵入してない。いざとなったらわからないけれど、死体を見たくないのだ。

ある程度食料を見つけたら、どこでもいいから、一服。大体の感覚で一時間に二本吸っていたら大丈夫らしい。一度、吸わないでおこうと思ったら一気に心臓がバクバクいいだして慌てて吸った。

タバコのおかげで生きてられるのだ。犬や猫はうろちょろしている。鳥もね。

小型の動物の肺と心臓は対応できているらしい。人間にはきついのだ。

猫に狙われないために家の鳥は籠で覆ってある。それにソーラー充電のセンサーを付けてあるからその光で逃げる。

時計的に11時から~13時までに帰れたら昼ご飯だけはレンジでチンするご飯を食べる。ある程度米は集めたが、自宅はソーラーがある。米の備蓄はいくらあってもいい。

米にはこれまた自分で漬けたキムチと冷凍保存できる肉を解凍して食べる。

野菜不足を補うために庭できゅうりとミニトマトを育てている。夏場は収穫が間に合わないほどミニトマトは出来る。

それからは家で筋トレとストレッチ、大幹トレーニングをする。何をするにも体力がなければならない。

済んだら、あとは生きるのに必要な読書だ。それに飽きたら充電できる携帯ゲーム機で時間を過ごす。一時間に二本のヤニ補充は忘れずに。

昔は、Wi-Fiってものがあったなあ。

夕飯はあまり食べない。缶詰の魚とか、あとは豆だ。最近は小さな冷蔵庫を持って帰ったからワインや日本酒を飲む。22を過ぎたら環境に慣れて飲めるようになってきた。ワインや日本酒は店で一番高価なものを頂く。不純物が一番入ってないから美味しいんだ。

あの、糖質オフとか、カロリーカットとかの時代が懐かしい。夜の電気はつけてても周囲に全く光がないからCDを大音量でかけて歌う。誰も聞いてはいない。


そして、水がもったいないから二日に一度水で濡らしたタオルをレンジで50秒温めて全身を拭く。湯船なんて夢はもうやめた。


夜の10時には睡眠薬を使って寝る。酒で寝たら途中で起きてしまう。


そんな毎日を送っていた。


ある日、外国語が聞こえてくるから原付を止めてゆっくりと声の方へ近づいて行ったら三人の中国人だった。男性二人、女性一人、30代くらいだ。服は汚い。


タバコを吸い続けて周囲を見回している。家から5キロ以上離れているが家に近づかれても困るから仕掛けの方に誘導した。さっと姿を見せて原付で逃げた。当然追いかけてくる。走って。


ある通りを過ぎてすぐに右に曲がり、すぐに仕掛けを引いた。


激しい絶叫。ばねの原理でのこぎりを足の膝の部分に当たるようにしかけていたのだ。三人の足は見事にちぎれていた。これ以上仲間がいる可能性もあるが念の為にマスクをつけて火炎放射器で焼き殺した。

日本人は殺せないが外国人は別。これで今まで8人殺した。十分死んだのを確認したら遺体はすぐに消火して片付ける。


皆、アジア人だった。やはりアジアはタバコの文化だった。でも、この地に来た人間は私が皆殺している。言葉が通じない相手と一緒に生きる気はない。


だから、今回が最後かもしれない。日本人の家には入れないのに外国人は平気で殺せる。こんな自分が嫌になる。


でも、それで悪夢を見ることはない。今は弱肉強食の時代。生きたいと願う気持ちがあっても力がなければ生き残れない。


念のために仕掛けは一週間に一度はチェックしている。日本人には出会えない。


タバコを吸い続ける女が欲しい。日本人の。でも、性交しても子供は作れない。


こんな時代に生まれた瞬間に煙草の煙を当てなければならないなんてそんなわけのわからない育て方は嫌だ。それでも日本人と出会いたい。女と。


私は若いんだ。だから、アダルトDVDはとことん見まくった。この土地にある店はほぼ回った。もう新しいエロはない。


まだ、気付いてない店もあるかもしれないがまだ個人の家には入れない。なんなんだこの自我は。もう理性なんて捨てていいんじゃないか?でも、昔テレビで見た映画でラグビーのボールを話し相手に見立てて話しつづけて無人島から帰った人の物語があった。

イマジナリーフレンドが必要なのかもしれない。


そう思って本屋のポップを持って帰った。萌え萌えの猫娘のね。

毎日話しかける。これくらいしないと維持できない。

いつか終わりが来る人生、こんな困難になるとは思ってなかった。


でもまだ死ねない。体が生きろと命令している。


この生活になって無駄な贅肉が全くなくなった。中学生の頃は結構なデブだったのに見事に体系が変化した。


毎日髭を剃らねばならないほど髭は濃くない。髪はブラシ型のはさみで月一回自分でしている。最近は昔流行った、剃りこみを入れたりしている。


いい加減、近所の自動車教習所で車のことも考えねば。今の時代、ガソリン車が絶滅してくれていてよかった。バッテリーも進化しているから多分大丈夫。


でも今は、まだこれでいい。最近は近所に来る猫たちにえさをやる余裕も出てきた。猫のカリカリは腐るほどある。


鳥を飼い、鶏を絞め、食べて、卵を食べて、猫は癒しだ。犬は野生化しているからニンニクスプレーで撃退するしかない。本能的に野生ある犬と本気で対峙したら勝てる自信がない。

幸い、怖い人間がいると認識して家に近づかなくなった。


ああ、今日の日記はこれくらいか。さて、明日は多分雨だな。


日本人と出会いたい。できれば女と。ロリコンじゃないぞ。

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