第31話  桜散る中ー―僕は舞い戻る《約束》

 結局、二ノ宮とタイトルに関してもあーだこーだと論議して、まわりまわって、元のタイトルになった。《約束》のサブタイトルは、二ノ宮の要望で付けたんだ。


 それと、区切り区切りの季節を春にして、思い出の桜の木を見に来るようにしようと、二ノ宮から案が出された。

 大まかなあらすじがたてられたので、その分を千文字ほどキーボードで打って、二ノ宮の見てる前でサイトに挙げてやったよ。


「これで良いかい?」


「ちょっと!!推敲は?見直しくらいやりなさいよ!!」


「僕のノベルに口出しをして欲しくない」


 本音だった。


「何を言ってるの?あなたは今、サイトに挙げて万人の人に見てもらう立場になってるのよ私の口出し以前の問題だわ」


(あ……二ノ宮の言う通りだ……。誰でも見れる様にしてしまった)


 僕は、慌てて下書きにして、もう一度読み返して満足のいくものであったので、再度サイトに挙げた。


「あら、もうpvが付いてるわ。桜庭君のファンはいるのね」


「アクセスがあったって事かい?あんな短い時間で?」


「そうよ、すごいのね~」


 そこへ、二ノ宮を迎えに来た司馬と都倉が教室に入って来た。


「お前たち、もう下校時間が過ぎてるぞ」


 司馬に睨まれた。


「御免なさい、司馬君。ちょっと内容を詰めるのに時間が掛かってたわ」


「アーリャ、送って行くから帰り支度をしろ」


 二ノ宮の鞄を持ってやる司馬。都倉は、教室の入り口で待っていた。


「じゃあ、桜庭君。二話目以降は任せるけど、『約束』のキーワードと『四月一日』のワードも忘れないでね」


 四月一日?エイプリルフール??なんだそれ?


「自分の余命を知った、タケルが婚約をしていた雫に結婚記念日をこの日にしようと提案するの」


 二ノ宮の案だった。

 僕の案ではない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る