第30話  『僕は舞い戻る』のはずだったけど……?

 わたしは待つ。彼の言った体育館の裏の桜の木の下で……。

 きっと、あなたは来てくれるはず!

 あなたは、はにかんだ顔で言ってくれたんだもの……。


「僕はどうしたんだ? 若返ってる?」


「伊吹君!!来てくれたのね?」


「そんな……どうして僕はここにいるんだ……?」


「わたしも、ここで伊吹君を待つのは四度目よ」



 ▲▽▲



「こら~!! 二ノ宮! これじゃあパロディだろうが!!」


 いきなり、お笑いにしてくれやがった。

 でも二ノ宮は、至極真面目に言うんだ。


「パロディじゃなくて、二人で転生してるんだよ。この案気に入らない?」


 僕は、もちろん頷いた。


「も~!!良いと思ったのに~!!二人で同じ時間を生きられるわ」


「その前に、じゃあ、何か?雫もタケルの死後に直ぐに死んでるのか?」


「そうゆことになるかしら?」


「僕の雫を勝手に殺さないでくれ」


 僕は、愛着のあるキャラクターをもて遊ばれたような気分になって面白くない。


「とにかく、雫が桜の木の下で待ってるところからスタート!ここから、雫視点で、物語を書いて行ってみて。おかしなところは私がストップをかけるわ」


 僕は驚いて二ノ宮を見た。


「まさか、これをサイトで発表する気か?」


「番外編や、続編は、余程読者が付いてないと読まれないそうよ。、ママが言ってたわ。でも、桜庭君は『ヨミタイ』に、ある程度の読者がいるわ。試してみても大丈夫だと思うの」


 僕は全く自信が無かったけど、二ノ宮が強く進めるのでそのまま設定を済ませて、第一話を雫の視点で女の子なら、男の子に呼び出されて時の気持ちを二ノ宮に聞きながら、書いていった。

 二ノ宮の奴、僕のことを散々女心が分からない鈍い奴って言ってきたくせに、肝心の恋する乙女の心には疎くて、ぼやかして書こうとしたら、「そこは、ちゃんと書くべきよ」だそうだ。 

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