第32話  脚本書き

 夕方に挙げた『桜散る中ーー僕は舞い戻る《約束》』はその日の内に五十pvを出して、次の日の午前中には、五百pvを突破していた。


 夜中にもう三千時書いて、二話更新していたので、見てくれた人が増えのだと思った。pvの見方、ハートや、レビューの見方まで、二ノ宮が、はっきりと教え込んでくれたので、今回は自分で手応えを感じることが出来た。


 今度は、雫の視点から。

 初めて男に呼び出されたら……女の子なら狼狽えるだろう……。

「何の用だろう?」と……。


 そして告白されたなら、それが好きな子だったら……?

 やっぱりうれしいだろうな……。


 てな感じで、雫の感情を事細かに追っていった。


 次の日に、二ノ宮がタブレットを持って来て、僕に言った。


「も~~!! 勝手に更新しないでよ~~ って怒ろうと思ったら、すごく読まれててビックリしたわ。女心が分からないなんて言って御免なさい」


 と、謝って来る。


「君のアドバイスのおかげだよ。なんとか、頭の中でまとまってきたから、書けたんだ」


「相変わらず、下書きしないのね。ま~ 桜庭君はプロじゃないから~ 後で詰まらないでね」


「もう、上書きのある物語の、サイドストーリーだよな? 詰まるかよ」


 僕は、もうあらかた自分のタブレットに、物語は書き終えてあった。

 今日眠たいのも、そのためだ。


 いつの間にか、二ノ宮の席が僕の前になっていた。


「目が悪い上に、小柄なの~~」が、理由らしい。


 休み時間になると、僕にタブレットを出させて、下書きがあるのを見つけられてしまった。


 それに黙って、目を通して放課後に、キーボードを出して、また繋いでいた。


「おい? 二ノ宮?」


 二ノ宮は、返事をすることなく、僕のノベルのチェックをしていく。


 気に入らない所は、容赦なく削って他の言葉に変えてるようだ。


「これで約一万字ね。さあ、ここからが本番よ。これを脚本にして欲しいの」


「シナリオに!?」


 僕は、そんな物は書いたことが無い!

 それを言うとなんと、今日から一週間だけプロの麗子さん(二ノ宮の義母)がレクチャーしてくれるんだとか?

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