第26話  中間テスト

 五月の半ばに、中間テストの範囲が発表があって、翌週に試験がおこなわれた。

 愛良にも見放された僕には、逃げ道がなくなり、微妙に手を抜きながらテストに臨んだ。


 このテストの結果は、親父にも報告されるので、偏ったことをせずに、誤ってミスをしたように、ところどころ間違えておいた。これで、20位は下がるはずだ。


 司馬は、実力テストでは僕より上位にいたのだから、これで、大丈夫だろう。


 ▲▽▲



 僕は、衝撃を受けた。

 なんで……なんで……なんで……?

 司馬が四十一位なんだよ。

 僕は、思惑通り27位だった。今回の一位は二ノ宮だ。伊勢崎が二位に落ちている。伊勢崎の悔しがり方は異常だな。


 二ノ宮は、当たり前のように、いつもと変わらない。

 愛良の順位は、僕の前で26位だ。


「あらあら、私にも負けてるの?真生」


「おかしいだろ!!この順位表!!」


 愛良が話しかけてきたので、思い切り声を出してしまった。


「絶対にお前は、手を抜くと思ったからこちらも学業に響かない程度に、手を抜いたのさ。この件は、アーリャは関わってないからな。彼女を攻めるなよ。まああれだな。あんまり歓迎はしたくないけど、演劇部にようこそ。桜庭君」


 司馬は、ご丁寧に手に演劇部の入部届けを持っていた。


「こんなのインチキだろ!!」


「いーや!! 正攻法だ。今月末までに一つ小説を書いて、脚本化しろよ」


「今書いてるのは、評判が良くないんだよ」


「アイディアの盛り込みすぎだな」


 こいつもSF小説のことを知ってるんだ。


 どいつもこいつも……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る