第24話 賭け
「何度言われても、僕に演劇入部への意思はないよ」
僕の周囲に、部員が集まり出したので、このまま流れにのって入部させようとしてるのは明白だった。
「あら、今の桜庭君はいらないわ」
二ノ宮が前に出てきた。
「多分、環境の変化でイロイロなことが頭に浮かんでるんでしょう?スランプだもんね~?」
勝手に人をスランプにするな~!!
「もう少し、桜蘭に慣れてきた頃でいいんじゃないかしら?ね、桜庭君」
二ノ宮は、自信たっぷりの笑顔で僕に言ってきた。
「でも五月には、演目を決まってないと困るのよ。10月には、都大会が始まるし、11月には文化祭があるのよ。練習時間が少なくなるわ!!」
馨さんだ。馨さんも進学のためにこの学校に進学したと言っていた。でも、もう三年生なのに、まだ部活動をする気なんだ。
「私が、桜庭君に短編小説を一本書かせるわ。任せておいて」
これまた二ノ宮は、自信たっぷりに言う。
(だから、何処からその自信が?)
「どうして僕が、ここの演劇部のために小説を書かなくちゃいけないのさ!!」
「決まってるわ。桜庭君の完成に惹かれたからよ。『桜散る』を脚本にした時、誰からも苦情は出なかったわ」
「それは、プロの脚本家の麗子さんが監修してるからだろう?」
その言葉に二ノ宮は、グッと黙ってしまった。
彼女にとっては、痛いところのはずだ。
「良いわ。なら、賭けをしましょうか」
「賭け?」
二ノ宮は、グルリと見渡して司馬のところで目を留めた。
「司馬君。あなたの実力テストは学年で10位だったわ。中間テストで司馬君より上だったら、強制入部ヨロシク。馨先輩良いですか?」
「いい方法ね。この子の引きこもりを荒療治で治せとも、
引きこもってないぞ!!勉強して、息抜きにSF書いてただけなのに~
なんで、こうも決まりごとの様に物事が進んだ?
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