第22話   笑われた僕

「どうしてSFジャンルなんて選んだの?」


 二ノ宮からが、思い切りの笑顔で聞いてきた。


「お勉強のために、速攻で帰ってるとばかり思ってたわ。いっちゃん(兄貴のこと)に言いつけてやろうかしら?」


「やめろよ!! 僕のノベルと勉強は、君に関係ないだろ!!」


「あるわ。こちらは、あなたの新作が欲しいのに、あんな変な話を書かれたらショックよ」


 僕は、書くサイトも変えたし、ペンネームまで変えたのになぜ、コッソリ書いていることが分かったのか聞いてみた。


 二ノ宮は、軽々と言ってのけた。


「簡単! 簡単! 『なりたい』にも私は読み宣で登録してるのよ。そこにどうして、『夕凪雫』がいるわけ?直ぐに桜庭君と分かったわ。『夕凪雫ゆうなぎしずくに何か思い入れでもあるの?」


 夕凪雫は、特別賞をもらった短編のヒロインの名前だった。何気なくつけたけど気に入った名前だっんだ。


「なんで、現代の地球が宇宙人に突然攻められるの?」


 唐突に言われて僕は、戸惑った。


「え!?おかしいかな……」


「主人公は、宇宙人なのにやられていく地球人に同情して、一人で自分の故郷の星の人と戦う設定ね? 昭和じゃないのよ! ダサい設定だわ」


 僕はグサリときた。


「一人で格好良く戦ってるならまだしも、密かに故郷の恋人を思って葛藤に苦しんでるとか?」


「でも恋愛なんてそんなものだろ?」


 僕の言い分に、二ノ宮は大きく息をついた。


「桜庭君、初恋もまだなのに、あんな複雑な主人公の気持ちのSFなんて書かないでよ。宇宙人が、地球人と同じ感情があることが前提で。読者が置いてきぼりのノベルよ。これが、『桜散る』と同じ作者かと思う出来よ。私だってだったら、脚色はごめんだわ。桜庭君どうしちゃったの?」


僕は、ズバズバと駄目を出されて、真っ赤になってしまった。

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