第15話  取り巻き二人

入学式は終わった。

クラスへ帰って、今日はもう終わりだ。

久しぶりの人混みに疲れてしまった。

早く帰って休もう。

……と、そそくさと教室を出ようとしたら、声をかけられたんだ。

二ノ宮愛里に!!


「桜庭君!!」


声が大きいよ。小柄くせに!!


僕は不機嫌に「何?」と返す。


「わ~~! 私、嫌われてるのかしら? お姉ちゃんとはあんなに仲が良いのに?」


「愛良とは幼馴染みなんだよ」


「知ってるよ、お姉ちゃんがいつも泣かせてたお隣の真生まきちゃんよね?」


「~~ どういう覚え方をしてるのか知らないけど、早く帰りたいんだけど?」


ニンマリ笑ってくる二ノ宮に、僕は、手の内で転がされてる気になってきた。


「用事がなければ、この後付き合って欲しいの」


「何?」


「一緒に来てくれれば分かるわ」


その後彼女は、演劇部らしい女子のところへ行き、先に帰る旨を伝えた。


「良いのか?演劇部はまだ片付けがあるんだろ?」


それを聞いて、二ノ宮は少しシュンとした。と同時に僕の頭にゲンコツが飛んで来た。


ボカ!!


「イデッ!!」


振り向くと、さっきというか、初めて会った時から二ノ宮を護る様にいた司馬莉人しばりひとがこちらを睨みつけていた。


「アーリャを傷付けたら、お前が生徒会長の弟でも許さないからな」


(取り巻きかよ……可愛いからな……)


「良いよ、司馬君。あのね、私がいても役に立たないの。だから今日は、自分の用を優先するのよ」


二ノ宮は、さっきまでの暗い顔が嘘なくらいに、ニッコリ笑って言った。


「私の家まで一緒に来てちょうだい」


「なんで? そうなるのさ?」


「いいから、いいから」


この子の笑い方は、愛良と大分違う。喜怒哀楽が愛良よりも豊かなんだ。


僕は、二ノ宮と二人で校門を出た。


「司馬君がゴメンね~~ 亜美ちゃんと司馬君が私のお守り役なの」


「取り巻きにしか見えないよ」


僕は、二ノ宮の後を歩いて行った。

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