第12話  クラス分け

 僕は、A組だった。出席番号は、七番だ。

 後ろから肩を叩かれた。振り向くと愛良だった。


「同じ組かい?」


「良く見てよ。同じクラスなのは、妹の愛里よ。私は、隣のB組よ」


 僕は、もう一度見ると確かに「愛里」と書いてあった。


「愛里ちゃんは?いっしょじゃないのか?」


「あの子は、エスカレーター組よ。入学式の後の歓迎会に出し物をやるのですって。それに出るから、春休みも毎日学校に出てたわ」


「ふーん」


 歓迎会?なんだろう……。


 教室に入る前に、担任だという笛吹先生に呼ばれた。外部入学の最高点だった僕に、新入生の挨拶を頼みたいということだった。「いきなり言われても……」と辞退しようとしたら、中身は毎年同じだそうだ。壇上で読み上げてくれるだけで良いと、まだ二十代半ばの先生に懇願されれば断ることも出来ない。

 僕は、その原稿を受け取ると、教室に入った。


 真ん中の前から二番目の席だった。

 視力が良くないから有難い。

 あれ……? パラパラ欠席がいるのか……

 高校の入学式を欠席?おかしな病気でも流行ってるのかな……。僕は思った。


 僕の後ろの奴も欠席だぞ。


 僕は、そんなにキョロキョロしていたのだろうか?

 一人の男子がやって来て言った。


「ふーん、外部入学だな、君。俺は、伊勢崎蓮。演劇部員は、準備のためにここにいないぜ」


「僕は、桜庭真生さくらばまきだよ。でも、入学式前だよ?」


「彼らは特別さ」


 本当に、変わった入学式だった。




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