第11話 入学式
あっという間に、試験は終わり合格発表の日が来た。
僕は、周りの変な期待に応えて、最高点で合格した。
それからは、教科書を買いに行ったり、新しいノートパソコンと、タブレットを買ってもらった。
「制服は?」
そういえば、高校で制服を着た人に会わなかった。
「ん?」
兄貴が反応した。
馨さんが僕のところに来て、胸を張って言った。
「高校は、去年から私服よ。
「兄貴が何でそんなことをしたのさ」
「生徒会に立候補するための公約だよ。
この辺りの三校の学校が私服登校なんだ。
全生徒にアンケートをとったんだよ。そうしたら、七割の生徒が私服に変わっても構わないという意見だった。他の二割の生徒は、どっちでも良いスタンスで残りは、毎朝服装を考えるのが面倒くさい派。生徒と先生方、校長、理事長にまで話を持っていって、三ヶ月かけて実現したんだ」
兄貴は、鼻高々に言う。
「一君は、我が『桜蘭高校』の英雄なの」
馨さんは誇らしそうに兄貴を見た。
この二人の関係って……僕の邪推でなければ両思いだと思うけど、義理の姉弟だもんな。
「制服でも、良いのよ。でも明日の入学式は、お母さんが用意したジャケットを着ていってね」
馨さんは、僕にウインク。
僕は、頷くしかない。マリエのところから、僕の荷物は本当に届かなかったんだ。書きためてたライトノベルは、謙さんのお古のノートパソコンにサイトの中に保存してあったので、それだけでも送って欲しいとマリエに言ったけど、親父が僕の物は一つも送るなと言ったらしい。
おかげで、新人賞をとったノベルを保存したタブレットだけしか持ち出せなかった。なぜかこれだけ、タブレットにも保存したんだよ。
▲▽▲
桜蘭高校入学式当日__
僕は、濃いグレーのズボンと紺色のジャケットを着て学校へと行った。
こちらに来てからも、ずっと引きこもってたから、外出は久しぶりだった。
入学式が始まる前に、クラス分けを見てくることにした。
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