第10話  僕の高校受験

 それから五日間は、本当に地獄だった。

 いつも、一人で勉強をしていたから、自分のペースで進められたのに、レベルが高いとか言って、朝の四時起きで僕の部屋へやって来るんだ。

 兄貴と馨さんが二人でやって来て、つきっきりで僕を見張ってる。


 学校へは、二人が一日おきに行ってたみたいだ。普通そこまでやるかよ?


「うんうん、圏内だな」


「駄目よ、トップで合格しなくちゃ」


 兄貴は褒めてくれるのに、馨さんはなかなかに厳しい。



 ▲▽▲



 桜蘭高校__

 もともと中高一貫校として創立された私立学校で、生徒数も多くない。

 中学校は百五十名の少人数制で、その分偏差値も高いそうなんだ。

 高校では、二クラス増える……つまり、六十人の外部入学を受け入れるそうだ。

 競争倍率は高いらしい。んなもの、推薦でパッと決めたらいいのに……


 僕の受験番号は、百七十六番だった。既に定員の三倍近くの番号だ。そして僕の後にの受験生はいる。


 一人の受験生が入って来て、みんながどよめいた。

 身長が百六十センチはゆうに超えてる、背筋がピンと伸びた美少女。

 二ノ宮愛良だ。

 愛良は、僕に気が付くと、気さくに僕の方に寄って来た。


「真生、今日はライバルね。ヨロシク」


「なんで?君はお嬢様学校にいるんじゃなかったの?」


「面白そうだったから、この学校を受けることにしたのよ」


 その先を聞こうとした時に、予鈴がなった。


 僕は、兄貴に愛良は大学までストレートでいける『清泉女学館』というお嬢様学校に言ってると聞いていたのに。

 妹の愛里ちゃんは、『桜蘭中学』にいるという。


 愛良が受かれば、あの目立つ双子が揃ってしまう訳だ。


 僕は、直ぐに自分の席に戻って、その時を待った。

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