第9話  受験対策

 今は、二月の半ば。後五日後に兄貴の通っている桜蘭高校の二次試験があるという。一月の末に一次試験があったみたいだ。これには、桜蘭中学の子も受けて学力の低い子は落とされるという厳しいものらしい。

 僕はその、厳しい一次試験を親父のコネですり抜けて、二次試験をクリアしなければいけないんだ。


 はっきり言って、自信はあったけど地方と都会のレベルの差がどのくらいか分からなかった。


 兄貴は、家に着くなり僕のもとの部屋へ押し込めて、勉強机に座らせて目の前に桜蘭高校の受験テストを過去15年分を五教科分持って来て、「これをひたすらやれ!!」と言って来た。


「でも……」


「お前には、海龍寺家の血も流れてるんだぜ。忘れるなよ。地方からT大を目指すのと、ここから目指すのは違うからな。馨だって、進学のためにここにいるんだ」


 僕は、桜蘭高校なんて知らない。

 兄貴が中高一貫校に入ったことしか聞いてなかった。


「お前は、トップで二次試験で合格して、高校でトップを取り続けるんだ。それ以外にお前の価値はないと思え」


 兄貴のあんまりな言葉に、馨さんがジュースを持って来てくれて言った。


「とりあえず、合格することよ。レベルは高いかもしれないけど、校風はかなり緩いわよ常識の範囲でなら」


「でも、馨さん……」


「苦手な教科がある?今日からわたしとはじめ君が付きっきりで見るわ」


 馨さんは自信満々のウインク。

 きっと、兄貴も馨さんも上位にいるんだろうな……と思いつつ僕は、苦手な社会の過去問からスタートさせた。




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