第6話 アーリャと愛良
――――が僕と二ノ宮愛里こと、アーリャとの出会いだった。
▲▽▲
僕らがしばらく話してると、少女は友人たちに呼ばれた。
「アーリャ、次が降りる駅よ。戻って」
「はいは~い。じゃあね、桜庭君」
(アーリャ!?あいらじゃなくて?なんで僕の名前を知ってるんだ?)
「あの……」
僕が口を開く前にアーリャと呼ばれた少女の一団は、ホームに降りて行った。
僕の降りる駅は、もう一つ向こうの駅だ。
考え過ぎだ。
久しぶりにマリエや、謙さん以外の人と話したから疲れたんだ。
僕は、リュックにタブレットをしまって、電車を降りる準備をした。
約八年ぶりに自分の家へ帰るとは、どんな顔をして帰れば良いのか……
そんな事を考えて、駅のプラットホームを降りてきた。
降りて来て、街の様子が八年前と大きく変わっていることに驚いた。
駅前は、大型スーパーといわゆるタワマンが建っていて、ビジネスホテルもチラホラ建っていることから、オフィス街として発展したのか?
駅前を抜けて東へ歩いて行くと、僕は大きく息をついた。
海龍寺家へと続く坂道。ゆうに一キロは続く。
僕は、この道が大嫌いだった。
それでも、あの家に行くにはこの坂を歩くしかない。
僕は覚悟を決めて、歩こうとした時にさっき、言葉を交わした少女の声が聞こえてきた。
バスが停まって、一人の中学生が降りてくるところだった。
「じゃあね」
「ええ、あいら」
ええ!? あいら!? 嘘だろ!! さっきの子と瓜二つだぞ!!
それに、それにあいらは、隣の愛良の事ことか!!?
僕は相当、驚いた顔をして愛良を見ていたようだ。
「失礼よ!!
痛烈な空手チョップが飛んで来た。
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