第23話 先祖代々なんてもんじゃない

 翌朝、義母から電話が掛かってきた。

「今日、病院行く?」

「今日は行きません。」

「え?行かないの?」

びっくりしている。まあ、家族が入院したならば、毎日着替えなどを持って通うのが当たり前だと思っているのだろう。私もそう思っていた。コロナでなければそうしている。

「あのさ、うちは代々大腸がん家系だから、その事を先生に言っておいた方がいいんじゃないの?おじいちゃんもだし、ひいおじいちゃんも、ひいおばあちゃんもだもの。先祖代々なんてもんじゃないんだから。」

と、義母は続けた。よく検診の問診票に、親類にがんや糖尿病などの人がいるかという質問があるが、今回は聞かれなかったから言っていない。

「でも、たとえ将来大腸がんになるとしても、今はまだないだろうし……。」

私がそう言うと、

「まあ、まだ若いからね。」

と義母。

「一応本人に、機会があったら先生に伝えるように言っておきます。LINEできるので。」

私はそう言って電話を切った。先祖代々……。夫の父が大腸がんで亡くなっている。義母が言ったように、その夫の父の両親も大腸がんになった。確かにうちの子たちは大腸がんになる危険性のある血筋かもしれない。けれども、義母はなっていないのだから、私の夫が既に半分だ。それで、私の家系には全くいないから、子供たちは4分の1だ。それほど確率の高いものではないような?もし、私の親や祖父母も大腸がんを患っていたならば、それは先祖代々大腸がん家系だと言えるだろうが。

 そういえば、夫も私も高校時代に大腸炎になっている。夫はそれで入院までしたらしいから、そっちは可能性が高かったのだ。長男はならなかったけれど。あ、長男だけ私立高校だったからとか?公立高校に通うと大腸炎になる家系……冗談である。しかし、人間関係のこじれや、勉強以外の事で忙し過ぎるなど、ストレスがひどいと大腸炎になるのは、もしかしたら遺伝的体質かも。

 昼に義母と会うと、次男が元気そうでよかった、と言っていた。早速LINEで連絡を取ったらしい。面会はできると思っていたようだが、逆にスマホで連絡が取れるとは思っていなかったようだ。義母も心配していたのだろう。直接連絡が取れて、安心したようで良かった。

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