第13話 入院準備

 エレベーターに私も一緒に乗って、3階まで行った。次男は病室へ連れていかれ、私はエレベーター前で待つように言われた。リュックを背負ったまま椅子に座った。これ、やっぱりちょっと重たいわ。

 病院内は真っ暗。消灯時間を過ぎているのだろう。夫から、あと5分で着くというLINEが入った。もうすぐ終わるから入り口付近で待っていてと返事をした。

 看護師さんが現れて、色々と質問された。その質問のほとんどがコロナ関連。しつこいと思ってしまうくらいだ。学校にコロナの人は出ているかとか、最近友達と外食をしたかとか、家族とは外食したかとか。そして、3日間は隔離の為に個室で、その後大部屋に移ってもらうと言われた。え?3日以上いるの?と思ったが、まだ分からないのだから一応そういう話もするのだろう。そして、次男の個室隔離中は、看護師さんも防護服などで対応するという事だった。いい加減思うのは、次男は(私もだが)3月、つまり1カ月半程前にコロナに感染しているのだから、今感染している可能性は非常に低い。救急隊員にも、この病院に入った時にも、ワクチン接種歴を聞かれた際には感染についても伝えている。それなのに、まあ、決まりというかマニュアル通りというか、医療関係者だからこそ分かっているはずなのに、いちいち過剰な気がしてならない。もちろん、医療現場だからこそ、慎重に慎重を重ねているのだろうが。

 看護師さんは、やっとコロナではなく入院の話を始めた。と思ったら、意外な事を言われた。下着などの着替えやマスクを、明日持ってきてくださいと言う。面会できないのに、来るのか。実は、3階に来る前に入院の為の日用品について、レンタル品を選んで用紙に記入してきた。パジャマだけならば250円、パジャマにタオルや歯磨きセット、ジャンプーなど諸々セットだと500円と書いてあったので、500円の方を選んだのだ。しばらく来なくていいように。2500円と5000円だったら2500円の方にするけれど、500円だから。安いな、と思ったのだが……後でよく控えを見たら、1日当たり500円だったのだが。その時には2~3日の入院だと思っていたから、あまり深く考えなかったのかもしれない。それでも、明日また来るのなら、タオルや歯ブラシなども持って来られたのに。

 それにしても、この看護師さんはとても可愛い。良かったな、次男よ。

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