第24話 海の見える街で

「悠人さん...。好きです」と言いながら抱きついて足を絡める。


「俺も好きだよ、葵ちゃん」


「...わたしのどこが好きですか?」


「全部」


「...ちゃんと一個ずつ言ってください」


「...優しいところとか、マメなところとか、可愛いところとか、照れ屋なところとか、俺のことを好きでいてくれるところとか」


「...//」と、照れて布団を被る葵ちゃん。


「葵ちゃんは俺のどこが好きなの?」


「...全部です」


「一個ずつ言ってよ」


「...私を助けてくれたこと。私を大切にしてくれて、私の全てを変えてくれたところ。嫌いなところなんてどこにもないです」


「...これは照れるね」


「...ですね」と、ニコッと笑う。


「...私、今すごく幸せです。悠人さんといたらずっと幸せだと思います」


「それは俺も一緒だよ」


「...ずっと、一緒にいてください」と、俺たちは見つめ合い、そしてまた唇を交わした。

そうして...。


 ◇


 目が覚めると朝だった。

いつもよりすっきりしたような朝だった。


 隣にははだけた格好をしてぐっすりと眠る葵ちゃんがいた。


 可愛い顔に似合わない豊満なボディに思わず目がいく。


 そして、いたずら心で胸を人差し指で突くと、プニっと凹む。


 すると、むにゃむにゃと寝言のようなことを呟く葵ちゃん。

こんな無垢な子に何をしているだと思っていたが...。昨夜の葵ちゃんの姿を思い出して、もう無垢な子ではないかもしれないと思う。


 普段とは一変し、積極的にがっつくように求めてきたあの姿...。


「...もぅ...起きてるんですかぁ...?」と、寝ぼけた声でそんなことを言う。


「ごめん、起こしちゃった?」


「...おっぱい突かれたらそりゃ起きますよ...」


「...バレてた」


「エッチなんですねぇ...。ふふふ」と、妖艶な笑みを浮かべる。


「好きな子がそんな格好で寝てたら誰だってイタズラしたくなるよ」


「今まで我慢していてくれましたもんね。ありがとうございます」と、頭を下げる。


 そうして、朝からイチャイチャしながらゆっくりと準備をしたせいで、チェックアウトギリギリとなり焦りながらホテルを後にするのだった。


「いい気分転換になった?」


「...はい。すごく良かったです。一生幸せにしてくださいね?」


「当たり前だろ。ずっと俺のそばにいてくれよ」と、ぐっと肩を寄せる。


 すると、頭を肩に乗っける葵ちゃん。


 そうして海の見える場所に移動すると、葵ちゃんは少し駆け足で海の方に向かう。


「見てください!海綺麗ですよ!」


「そうだね。すごく綺麗だ」


「私とどっち綺麗ですか?」


「そりゃ、葵ちゃんだよ」


「ふふふ、過大評価ですよ?」と、無邪気に笑う。


 その時、俺は心の中で決意した。

葵ちゃんを幸せにする...と。


【挿絵】

https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818023214246978139

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