第5話 おっさんずラブ

どうやらユイはおバカさんのようだ。


リモシーとどこで出会ったのか?を何度も聞いてもが覚えていないの一点張り


もはや「覚えてない!」だけを言い続けるロボットのようだ。


僕があまりにもしつこく聞くもんだから。


ユイは泣き始めた。


「うぇ~ん、もうやだわかんない。本当に覚えてないのに~」


僕とボンボールを目を合せて肩を落とした。


「わかったよ。アクモン協会に行こう!」

ってことでまたアクモン協会に行くことにした。


アクモン協会の受付のお姉さんは僕たちを見つけると苦笑いした。


お姉さんが教えてくれた内容だとリモシー族がいるのは海を渡った別の大陸のようだ。


じゃあ、なぜユイはリモシーを捕まえられたのか!?


ユイの方に振り向くとユイはニコニコしていた。


「しかたない、ボンボールでお金をつくろう」


その言葉に一瞬持っているボンボールの顔が強張った。




あの平原でボンボールを捕まえること自体は楽だった。


しかし、大きくするのに時間がかかった。


大きくなるのには、転がる距離も必要なのだが実際に大きくなるのは翌日まで待つ必要があった。


僕のボンボールは大きくなる事をなぜか拒んだ。


売ろうとした事に傷ついたのかもしれない。


「悪かったよ。ボンボール」


そしてお前はなぜかカードに入る事も拒んだ。


結構厄介なボールを捕まえたのかもしれない。




僕は一日でボンボールを40匹捕まえることができるが、

ユイは1匹しか捕まえられなかった。


ボールは止まっている。なぜ捕まえられないのか。


彼女を眺めていたら、一つ一つの動作に対して余計な動作をしているようだった。


例えば、

ユイはすぐ転ぶ。

転ぶと痛い痛いと泣く。

泣きやむまでしばらくかかる。

泣きやんでやる気を取り戻してまたボンボールに向かって走る。

そしてまた転ぶ。

泣く。


彼女はとても忙しい。


リモシーには週5日8時間労働をしてもらっている。

リモシーは職場では大変評価が高く。来月からバイトリーダーになるようだ。


リモシーが1ヶ月で稼いだお金が日本円で30万円。


僕たちが1ヶ月でボンボールを捕まえ、育てて売った金額が、9千円。


僕たちはやっとホテル暮らしができるようになった。


ホテルでエアコンをガンガンにしている部屋でゴロゴロしている時に思い出したようにユイは言った。


「あっ、思い出した!」


「やっと、リモシーの生息地を思い出したのか!?」と僕


やっと金持ちになれる。


「違うの、シェン(僕のこと)の目的」


ユイが僕の名前を一生覚える気がないことはこの一ヶ月でわかった。


「あなたは、この世界の亀井音兎を幸せにしないといけません!」


僕ははじめて冒険の目的を知った。


「亀井さんはどこに?」と僕は言った。


「知らな~い!」とユイはへらへらして言った。


亀井音兎を明日から探そうと決心した。


翌日、仕事で出かけるリモシーを見送り、ユイとボンボールと「アクモン協会」へと向かった。


当然のように受付のお姉さんに「そんな事、知りません」と言われ僕たちは公園に来た。


公園ではあのジャングル育ちジャングル生まれの野生男と普通の男がアクモンバトルをしていた。


普通の男は「戦車」のようなアクモンを使役して、野生男は、炎灯りし聖杯をもつ赤い獣人のような魔人を使役していた。


聖杯から火炎放射のような炎が放たれ、戦車のようなアクモンは苦しんでいる。


戦車のようなアクモンは意識がなくなる光を放ちカードに戻っていった。


「よくやった!業火(ごうか)」と野生男はガッツポーズをしながら言った。


対戦相手と握手をして周りの声援に答えている中、野生男は僕を見つけた。


「おー、坊主じゃねーか!」と手を上げる。


しまった。カツアゲされる。








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ミス・パラレルワールド 一般マン @shunpiya

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