第3話 新しい世界

地面に埋まったボールは漆黒に染まっていた。

なんだか目も鋭くなっている。キレたボールって感じです。


持ち上げようとしたが、持ち上がらない。


「こんな重かったっけ?」


倒れている男の脇にカードが落ちている。


「この大砲のこと。 いや、ボンキャノンとか言ってたな」


じっとして何もしていないボンキャノンにカードを向けた。


すると、カードからボンキャノンを吸い込む風が生まれる。

徐々に吸い込んでいく。


完全に吸い込まれたあとカードの表をみるとボンキャノンが描かれていた。


とりあえず、このカードをもらっておこう。


気絶した男はほっておいた。



地面に埋まっていたボールが「ギギピー」と嬉しそうに鳴き始めたので


手持ち無沙汰なので持っていくことにしてこの地をあとにした。



先ほどの来た道を引き返し、森をしばらく歩いていると街が見えてきた。


街には人間と人間ではないものがたくさんいた。


僕が持っているボールも子供たちの何人かは楽しそうに同じものを持っている。



ここは横浜いや、日本じゃない。


僕は本当に違う世界にきたのだ。



飲み物を買おうとお店に入ると違う通貨を求められ買えない。


トイレを探しても公衆トイレは見当たらない。


終いには、オオカミの獣人みたいなやつに威嚇されてしまった。


「もう日本に帰りたい」とそっと嘆いた。



後ろから、元気よく「おい、坊主どうした?困っているのか?」と聞こえ振り向くと、ジャングル生まれジャングル育ちの体の大きな野生の男性が現れた。


僕は喉が渇いたことを伝えようとジェスチャー交じりで小さな声で話した。


「そうか、そうか道に迷ったのか。俺んちに来な!」


話聞いていました? なんだか怖かったので走って逃げた。


「おい、坊主」と何度も聞こえる声を後ろに全力で逃げた。



本当にどうしよう。このままじゃ、野垂れ死にだ。


「やっと、見つけた」とのんびりした声が聞こえた。


この世界に僕を送った女だ。たしか駒木 結衣とか言ったなこの人。


「いままでどこにいたんですか? ごにょごにょごにょ」


彼女に会えてすごくホッとした自分がいた。


彼女に人間以外の存在の事。拾ったカードの事を話した。


すると、うんうんと頷きながら、「アクモン協会に行きましょう」と一言。


「アクモン協会?」と?になっている僕をアクモン協会へと連れて行くユイ。


アクモン協会は役所みたいな場所だった。


受付の女性が、この世界ではアクモン(僕が持っているボールのようなモンスター)を一体手懐ける必要があり、パートナー申請が必要な事を教えてくれた。


とりあえず、言われるがままパートナー登録をして、既にもっているカードの表が白紙のものを5枚もらった。


「アッカード」という「アクモン」を捕獲するカードらしい。


手続きが終わり振り返るとユイの隣にまた見たことないアクモンがいた。


見た目は国民的たぬき。いや、ネコ型ロボットのうさぎバージョンといった感じ。


「リモシー」「リモシー」と尻上がりに鳴いている。


「じゃーん、私のアクモンでっす!」とユイが言った。


こんなんどこで捕まえたんだよ。僕の事ほっといてという気持ちの方が強かったため。少し冷めた反応をした。


「リモシーちゃん、あいさつ!」ビシッと敬礼。


「リモシー」と尻上がりにリモシー敬礼しながら鳴いた。


駒木さんの事もそもそも誰かわからないのにアクモンとかいう謎の生物も現れ、

一番信頼できるのは、ずっと持っているボール「ボンボール」である。


冒険は続く。とほほ。「ギギピー」













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