第2話 ライド・オン・タイム
森の中で目が覚めた。
起き上がると周囲に人の気配はなかったが、遠くから動物らしき鳴き声がかすかに聞こえる。
死んでからの目紛るしい展開に頭がついてこなかったので頭を抱えた。
森を抜けようと歩き始めた。しばらくしたら、森の先に平原が広がっていた。
平原には木が一本もなかったが、ボール状のものがたくさん落ちており、ころころ転がっているボールもいくつかあった。
遠くから「ポンッ」という低い音が聞こえ、空を見上げた時にボールが空に打ち上げっていくのが見えた。
ボールが着地すると着地点が坂になっており、打ち上がった場所へ戻るように転がっていった。
そのボールは他のボールに比べ、ふたまわりほど大きかった。
「何だここは?ボールしかない。」
時々、「ポンッ」と低い音が聞こえたあとに「ギギピー」と高い声が聞こえる。
近くのボールを持ち上げて眺めてみると目が合って、驚いて投げてしまった。
「ギギピー」と声を上げるボール。
僕にはなぜかボールが喜んでいるように聞こえた。
僕が先ほど投げたボールは何度も鳴いており、なんだかボールが喜んでいたように見えたので持ち歩く事にした。
何だか手持ち無沙汰だったのでドリブルをしながら、辺りを探索した。
少し歩くと向こうに人影が見え、うれしくなって駆け出した。
人影も僕に気づいたようで向こうもこちらに駆け寄ってきた。
「よう!お前、どこのもんだ!?」と高校生くらいの男が言った。
僕が「横浜です。」と言い切る前に「はぁ~!しらねーよ、バトルな!」
彼はポケットからカードを取り出しこちらに向けるとカードが眩しく光始めた。
カードが放つ光が眩しくて目をつぶってしまい、再び視界が開けた時に目の前に「大砲」のようなものがあった。
「ボンキャノン、発射!」男が突然言い放つと、ボールが大砲から発射された。
一本槍は、持っていたボールを咄嗟に盾にしてボールをはじいた。
「ちっ、素人じゃなかったか!ボンキャノン、装填」と男が言った。
まずい、また玉が飛んでくるかもしれない。
一般槍は辺りを急いで見渡し、姿を隠せる場所を探した。
しかし、ここは平原。
持っているボールと大小異なるボールが転がっているだけだった。
近くにある一番大きなボールに急いで隠れることにした。
玉は飛んでこない。
「今度は風穴開けてやるっ!」と物騒な事を叫ぶ男
しかし、男は打ってこない。
「どうしたんだ。なぜ打ってこない」
大砲の方をこっそりと覗くと、男は必死に大砲をこちらに向けるため押していた。
「そうか!大砲は動けないんだ」
よし!と思いつつもこちらは相手に攻撃できる手段をもっていない事に気づき落胆する。
んっ、何だか持っているボールが騒がしい
「ギギピー」「ギギピー」と何度も鳴いている。
こいつを投げて当てよう。
大砲ではなく男にボールを当てることにした。
近づいて男に向かって全力でボールを投げた。
男はボールに当たった途端「ぎゃーーー」と叫び倒れた。
「えっ、マジ!そんなに効いたの!?」
男に近づき、気絶しているのを確認し落ちているボールを拾おうと手を伸ばした
時にボールが地面に半分以上埋まっていることに驚いた。
「これは・・・・」
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