美少女転生ひゃっほーい

 やあみんな、俺ちゃん女神様に結婚申し込まれて断ったら強制的に眷属にされて異世界転生したよ!

 ちなみに星の女神様らしくてさっきヴァンパイア・ロードっていう怪物をビー玉みたいにして潰しちゃった! 俺ちゃんなんで生きてるんだろうね!?


「まず体なんですが――異世界の人間って弱いので作り変えておきました、いま見せてあげますね」

『また勝手に……イヤナンデモナイデス、ウレシイナー』


 空中に水が集まってきて縦長になり、整って鏡みたいになった。重力魔法ってこんなこともできるのか、マジ便利。


 体を乗っ取られているが視覚は共有されているので見てみると――綺麗な銀髪、目は青く澄んでいてまあまあ胸あるね、とっても美少女。

 やだアタシったらこの体で俺ちゃんなんて言ってたの? 体返してもらったら俺ちゃんじゃなくて私に変えとこ。


 あとなんか可愛らしいケモミミとケモシッポがあるんですけどこれなんですか?


『女神様、まず俺ちゃん男です』

「知ってますよ?」

『見えるのがケモミミ美少女なんですけど……あとどことなく女神様に似てるような』


 確か異世界に来る前に対面してたのは金髪に赤い目の美女だった気がするが、その姿を少し幼くしたような印象がある。


「それは当たり前じゃないですか、私はこの世で最も強くそして美しい――」

『女神様なんか拳法伝承してます?』

「何の話ですか? 私は魔法が使えるので殴ったりしませんよ」


 記憶がないのになにか引っ掛かった気がする、ただ大事なことではなさそうなので一旦おいておくことにした。


「というわけで私が好きなものベストスリーをまとめてみました、気に入ってくれましたか?」

『そのベストスリーとは?』

「見た目は私です、ただちょっと昔のですけど。完全にコピーするとややこしくなるので色も変えてあります」

『まあそれは、可愛いからいいか』

「そして魂はあなたです、一番好きなのは私自身ですがかなり接戦ですよ」

『じゃあ三番目ってのは?』

「あなたの世界にテンっていう動物いるじゃないですか? あれ可愛くて好きなんですよねぇ……せっかくなので取り入れてみました」


 テンは見た目によらず害獣ですよって言ったら、次は四番目に好きなものが組み込まれそうなのでやめておいた。

 これ以上体がいじくり回されたらどんな姿になるか想像できない。


「獣人は普通にいるので安心してもらっていいですよ、ちなみに完全に女の体なのでそのへんは随時対処してください」

『ちょっと不安あるけど、まあいいか……』

「まあいろいろ差し引いても揉み放題触り放題ですから嬉しいでしょう? 私の結婚断っておきながら恋人もいなかったみたいですし」

『なんで知ってるの!?』

「見てましたから、生まれたときから初めての興奮……おもちゃに手を出すか悩んだ思春期……新しい扉を開いたあの日……」

『わーわー! 言わないで!』


 この女神様なんで下の部分ばっかり見てるんだ!? そういうのは見ても見ないふりするのがマナーだろい!


『ていうか女神様に似せた体ですよね、触ったりしてもいいの?』

「いいですよ? 別に似てるだけで私じゃないですし、むしろ未来の姿に興味があれば夫になるだけで――」

『アザッス、体ハ好キニサセテモライマス!』


 自分の体だからと油断させて、女体に興味をわかせたうえで誘導するとはこの女神様かなり策士……言われなければ気づかなかった。

 いや触んないよ? 触んないけどね? そりゃあんたさん自分の体をまさぐってエロス感じることはないっすよ。


「この世界については脳に刻んでおきました。聞きたいなら話しますけど創世記から説明するの大変なんで」

『そりゃ終わる頃には死んでそうですね、助かります』

「そろそろ体も返しますので、好きに生きていただいて結構ですよ。最終的に私のところに来ていただければいいので」

『その間にいろいろあったとしてもですか?』


 私の体はちょい特殊とはいえしっかり生物の体でしかも可愛い、生きていくうえでなにもないなんてことないだろう。いや心はとっても男の子だからあんまり想像したくないけど……。


「体なんていいんですよ、でも所構わず抱かれまくられると片っ端から男を消す可能性があるので控えてください」

『(そんなつもりないけど)やめときます。女の子は抱いてもいいですか?』

「そこに愛があればOKです!」


 よし、女の子を愛しまくろう。愛し合ってそれはもう愛そう、愛でまくろう。そんな勇気があったら私の息子は役目を終えないまま消えていたりしないんだけどね!


「じゃあ私天界帰るんで、結婚したくなったらいつでも言ってください。教会に啓示を下ろしてすぐ神殿建ててもらうんで」

『うっす、考えときます』



 ……あれ!? 体が普通に動くし女神様の声も聞こえなくなった、本当に帰ったの!? 

 マジで!?

 放置!?


「…………とりあえずおっぱい揉んどこ」



 まずは女神様の体で覚えた感覚で魔法を使ってみると、私の体がふわりと浮き上がる。


 調整はまだ慣れの段階だけど、上手く使えば飛んだりもできるようだ。このまま高いところまで行って周りを見てみよう。


 太陽の明かりが目に痛くなるほどの上空からあたりを見渡すと、見えたのは瓦礫の山。さっき壊したヴァンパイア・ロードの城跡だ、無惨にも崩れてただのゴミ山と化している。

 生きてる奴は……いないだろうな、瓦礫と一緒に飛んでそのまま落ちたんだ。普通なら死んでるし動くものも見えない、もし生きてるやつがいて見つかってもいやだしここは離れよう。


「これどう処理されるんだろ……局地的天変地異? それとも英雄の知られざる活躍的な? まあどう伝わったとしても知らんぷりしとこ……」


 方向を変えて飛んでいるとなんか気持ち悪くなってきたので移動方法変更、星を足の下に生み出して足場として空中を歩くことにした。


 ただ魔法だからって力を使わない、ということもないので疲れてきてしかも腹が減る。魔法を使うのにも体力的ななにかが減っていくようだ。仮に魔力として、限界がいつ来るかもわからないから一度降りて食べ物を探してみることにした。


 おっ、なんか赤い実がある。私の脳内女神様知識によれば食べられるやつだな、いただこう。


 高い位置にあっても引き寄せれば簡単に取れるし魔法様々、いろいろと使い方のアイデアも浮かんでくるし生きるのに困ることはないだろう。


「でもしっくりこないよなぁ……ニポンジンの私が原始的生活というのはいただけない話だよ」


 思いつくのは衣食住の安定。

 残った記憶的にはだいぶいい暮らしをしていた気がする、足りないものは恋人だけだったか。

 このまま森の中で果実食べて草陰で排泄して洞窟で寝るみたいな生活は論外、人らしい生活を目指そう。


「魔法はあるんだ、できることを考えよう。先立つものは必要だし金が稼げそうなのは……」


 冒険者? うーんナンセンス、戦って報酬もらってを続けていれば勇者か英雄ルート。人気は出るけどやること大変。


 職人? これは難しい、脳内知識には細かい物作りのやり方とかない。生物ノータッチの女神様知識に文化とかないのは当然か。


 商人? 金勘定と交渉さえ出来ればいいか、でも私本人にそんな知識も経験もない。安全そうだが安定するとは限らない。


「ってなると難しいな、でも私可愛いから大丈夫か」


 なんたってこの世で一番強くて美しい女神様の姿(ケモミミ付き)だ、困ったら尻尾振っておっぱいでも寄せてやろうと軽い気持ちで今後のプランを決めた。

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