34,ただいま×UFO×おかえりなさい【泉野耕治】

 朝焼けがまぶしい。ここで朝焼けをみるのは2回目だ。

「ねえ、本当に来ると思う?」

「多分な」

 俺と京子は上流の天狗川にいた。昨日、キャンプした場所だ。昨日のことなのにすごく昔のことのようにも思える。

「多分って……あ」

 見つけたのは京子が先だった。京子の指さす空の先に時折キラキラと輝くものが見えた。次第にそれは大きくなり、赤い色をしているということが分かる。望遠鏡があれば、赤い円盤に手足の生えたような形をしたものだというのが分かるだろう。それがゆっくりと高度を下げながら、こちらに近づいてくる。やがて、ゴゴゴと空気の吐き出す音を立てながら、俺と京子の前に着陸した。

「ただいま!よくこの場所が分かったね!」

「降りるならここしかねえって思ってたからな」

 遥子が真っ先にコックピットから飛び出してくる。そして美香、千草、そして音羽と学も降りてきた。俺も捻挫した足を引きずりながら降りてきたみんなのほうに近づいていく。動こうとしない京子の手も引っ張って。

「どうだった?ネイは?」

「ネイはもう自分の星に向かって帰ってる最中だよ。光速の500倍が巡航速度だっていってたから今はオールトの雲を越えたあたりだと思う」

「宇宙観てきたよ、すごかった。耕治も京子も、来れたらよかったのにね」

「あ~、すっげえ残念だよ」 

「ていうか大騒ぎになってるんじゃないの?どうやって抜け出してきたの?」

「ああ、すっげえ大騒ぎだよ。だから逆に抜け出せた、だれも俺たちのこと気にしてねえからな」

「京子ちゃん」

「音羽…ごめ」

「京子ちゃんは間違ってないから、だから、謝らなくていいよ」

「…うん……」


 その後、俺たちはネイから預かったしずめビームで乗ってきたロボットを沈めた。沈めたら丁度電池がきれて、丁度いいやと思って、シャベルで穴を掘って、それも埋めた。


「よし、じゃあ、あれやるか?」


 そういって、全員を輪にして手をみんなの真ん中に置く。

「え?これやるの?」

「また?」

 そういいながらみんな俺の上に手を置いてくれる。

「UFOって信じる?」

「信じる~~~~!」


 そうして、俺たちとUFOの7日間は終わった。

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