第5話 第四の扉 オトモ
次の扉に辿り着くと、扉が自動で開いた。
扉が開いたとき、眩しい光が
俺の瞼に突き刺さる。
思わず、目を閉じた。
すると前方から
誰かを呼ぶ声が聞こえた。
(誰か!!!おいらの羊さんを捕まえて!!)
声のする方は扉の先だ。
俺は急いで扉の先へと駆け出した。
扉の先には広い公園が広がっていた。
その公園にはペットと飼い主さんが
楽しく遊んでいた。
遊んでいる姿を見ていると、なぜか足元に
違和感を感じた。
足元を見ると、ライオンがいて、
俺の足元に体を乗せて座っていた。
俺は動物は嫌いではないが、
ライオンを目にすると、襲われるのでは
ないかと心配になった。
そんな心配をしていると
再びゲームマスターの声が聞こえた。
“ようこそ、オトモの世界へ”
“ここではオトモと飼い主さんの名前を
覚えて、その出会いの場所を答えよ”
“では開始する!!!!!”
ゲームマスターの合図が出ると、
俺の周りを囲うように
ペットと飼い主さんが並んだ。
辺りを見渡してみると
ペットはライオンが1頭、猪が2頭、鹿が2頭
馬が1頭、羊が6匹いた。
飼い主は5人立っていて
そのうち子供が2人、仙人らしき人が1人
大人が1人。
子供が連れているペットは
それぞれ 鹿2頭、羊6匹
仙人のペットはライオン
仙人らしき人は髭が顔のあちこちから
伸びていて、不気味なオーラを感じる。
大人が連れているペットは馬1頭だ。
見渡していると、
周りを囲んでいたペットと飼い主たちが
隣にいる人と距離を取り始めた。
すると、1番近くにいた仙人が
声をかけて来た。
俺の名はジヤ•エンマ
そして、俺のペットはライオンで
“ブリュッセムヒ”と名付けたんだぞよ。
このライオンは凶暴で
一度、手を噛まれそうになったんす
俺はこのライオンとの出会いは動物園じゃ。
動物園に行った時に、このライオンは
なんか元気なさそうだった。
その時、俺が雄叫びを上げたとき
(ライオンも雄叫びを上げ出して元気になる)
それを見ていた飼育員さんが
俺に飼育して欲しいと声をかけてきた。
そんな特別な出会いがあった。
俺は動物が好きで各地を転々としているが、
この動物園の居心地が良かったんじゃ。
ライオンが待ちきれずその場を離れると
子供が一人、声をかけて来た。
(おまえ、どこの誰だ!)
子供にお前呼ばわりされた俺は
名前を答えるどころかペットに釘付けだった
子供が連れていた羊は
白い体毛と角がくるくると渦を巻いている。
それに驚きなのは子供が羊を6匹も
連れているのだ!
羊が子供の意図を読み取っているのか
6匹とも大人しい。
子供が俺の顔を見て羊の紹介を始める。
おいらのペットのニップルさ。
ニップルは名前を呼ばれたからか
[めーへぇえええ!]と鳴いた。
俺は羊の可愛い鳴き声に一瞬、
心を奪われそうになったが、
隣で冷たい目線を子供から感じて、
すぐに平常心に戻った。
俺はゲームに必要な情報である
子供の名前を訪ねる。
“坊や、、名前を教えてくれるかい?”
子供はどこか恥ずかしそうに答えた
“おいらの名前はドッキドックンさ”
••••ドッキドックン?と聞いて
俺は頭の中にはてなが浮かび上がったが、
子供に聞くと怒られそうなので、
無理矢理、自分を納得させた。
ドッキは軽く自己紹介を始める。
おいらは中学2年生で
部活はレスリングをやっているぞぅ
レスリングは中学生の時から始めたから
まだまだ修行やい
おいらは一人っ子だから
好きなことをさせてもらってるでい
••••レスリングかー
体つきを見て運動部なのは分かったが
意外だった。
ドッキの話を聞き終えた俺は
その隣にいた大人に訪ねた。
“お名前を教えていただけますか?”
あくびをし終えたとき、口を開いた
“俺はローリエ•アルファ”
動物病院を経営者で獣医師でもある。
学生の頃、テレビでペットの殺処分が
行われているのを知り、何か私に
できることはないのだろうかと動いた結果だ
その活動としてアイアニという団体を作った
アイアニは動物も生き物だから大切に育てて
愛して欲しいという思いでついた名前だ。
活動内容は動物と人間が触れ合うテーマパークの運営やペットの一時的に距離を置ける
預かり施設の運営などだ。
ローリエが長話をしている時、
隣に座っていた馬が急に’ヒィッヒヒヒン!!’と
暴れ始めた。
ローリエは馬を慣れた手つきで
落ち着かせると、馬の紹介を始めた。
この馬はダイラー•スーホだ
比較的大人しいほうだが、かまってちゃん
だから5分以上、目を離すと暴れ出すんだ。
この馬は友人から一時的に預かっている。
ローリエが馬の紹介を終えた時
またもや、馬が暴れ出した。
ローリエは、呆れて足早に去っていった。
ローリエが去っていくと、
奥で遊んでいた子供がやってきた。
僕はコンコ•ラピスさ
そして、ペットの鹿が2匹いるんだ
名前はメウメウとトットコ
メウメウは♂で沢山餌を食べ、
お腹を空かせているという合図が
自分の角を上下に激しく揺らすんだ。
この角の先端は尖っていて危ないから
むやみに外に連れて相手に怪我させては
いけないからあまり散歩させられないの。
そして、トットコは♀
少食で大人しい正確だから、餌を自分から
求めることは少ないんだよ
だから、外に連れていっても
あまりトラブルが起きないから
散歩する時はいつも連れて行くんだ。
(シューシュッ、シューシュッ)
メウメウが角を上下に激しく揺らし始めた。
子供は餌を持ってきて無かったため
急いで帰ろうとする。
ちょっとまって!!!
君は今、何年生なの?
僕は中学一年生さ。
部活は何やってるの?
部活は卓球部さ。
コンコは、卓球部と答えると慌てて
家へと帰っていった。
あーあーあーあーあー
気がついた時にはホワイトホールに
吸い込まれていた。
目を覚ますと扉の前に座っていた。
“おかえりなさいませ
ス•フォ•ガポン様”
ゲームマスターの声が聞こえてきた。
“早速だが、問題だ!”
“馬を連れている大人の名前と馬の名前
それから活動団体の名前を答えよ
大人の人はローリエ•アルファで
馬はダイラー•スーホ
••••••••正解!
ゲームマスターが声を出したとき、
俺の忘れていた記憶がフワッと
蘇ってきた。
蘇った記憶の中には
昔買っていたインコのトリッキーとの
思い出が浮かんできた。
トリッキーという名前の由来はたしか
声の真似の仕方がなんかセンスを感じたん
だよねー
例えば、おはよう→おっはーおとか
思い出を思い返しているうちに
ゲームマスターが目の前に突然現れた!
‘いよいよ最後だな!
また会える時を楽しみにしておるぞー
そう告げるとゲームマスターが
徐々に消えていき、
それと同時に扉が現れた。
俺は扉を開けて歩き出した。
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