第12話 鍋


「鍋ができたぞ?持って行くからな」

「はい!」

 ガスコンロに鍋を持って行く。

 蓋を開けると湯気からいい匂いがする。

 今回はキムチ鍋だ、辛いのが好きと言ったのでキムチ鍋にした。

「「いただきます」」

「あふっあっあふっ」

「そんなに口に頬張るからだよ」

 と和んでいると、ニュースで冒険者の年齢引き下げが可決されたらしい!18歳からになるらしいので高卒や大学生が多くなるな。


「あっ!肉ばかり食うんじゃなくて野菜も食えよ!」

「ソーセージ!も野菜?」

「肉だ!」

「ったく、って野菜しかないじゃないか?」

「肉をもっと入れてよ」

「ったく」

 肉を入れてまた鍋ができるまで待つ。


「できたが、肉は野菜の後な?」

「はい!」

「じゃーよし」

 と蓋を開けるなり肉に行きやがった!

「鍋とは戦争と一緒」

「うるせーよ!」

 肉はすこししか食べれなかった。

「しかし、18からかぁ」

「向こうでは16から成人だった」

「まじかよ!」

 ほんといろんな世界があるんだな。


 鍋の締めはうどんにした。

「これは美味い!」

「な!美味いだろ?肉も残しとけば」

「これはこれで美味」

「まあな」

 とズルズルと二人で鍋をつつく。


 次の日、寒いと思ったらソファーの俺の布団にくるまったミスティがいた。

「おいミスティ?まだ7時だぞ?」

「ん?まだ寝る」

「お前にベッドやってるだろうが!このやろう」

「一緒に寝ればいいのに」

「それは…俺は男だぞ?」

「別にいいのに」

「…ったく!自分の体を安売りするなよ」

「安く売ってるつもりはない」

「…っはぁ。俺はまだその気になれないからやめてくれ」

「分かった待つ」

 本当にもう、男は繊細な生き物なんだぞ!

「とりあえず起きるか、ベーコンエッグとパンな!」

「はい!」

 俺は台所でベーコンエッグを焼いていると、隣に来てそれを見ているミスティ。

 俺との身長差は10センチくらいかな?

 って何考えてんだか。

「ほら出来るから持ってくぞ」

「はい!」

 朝飯を食いながらニュースを見てるとなんとか評論家がダンジョンは自然のものであって冒険者なんかが入る物じゃないとかなんとかいっている。

「この人馬鹿?」

「まぁ、こう言う人もいるんだ」

 俺も馬鹿だとは思うがな。

 さて、支度してギルドに向かうか、

「今日はどっち?」

「葛飾ギルドでいいだろ?」

「そうね」

 近い方から攻略していけばいいだろ。

 

「おぉ!大勢いるなぁ!」

「ほんとに」

「あっ!あんちゃん!」

 こっちを向いて手を振っているので近づくと。鋼の剣を持っている?

「あぁ。あの時の子か!」

 駅で自分から戦うと言っていた子。

「そうだよ!俺もやっと冒険者になれるぜ!」

「そうか!あの後何匹位倒したんだ?」

「10匹からは数えてないや」

 ほぉ。それなりにやってたんだな!

「なら頑張れよ。そうだこれやるよ」

「ピアス?」

「スピードピアスって言って速さが上がるぞ」

 と俺もつけてるのを見せる。

「おお!あんがとあんちゃん!」

 いつもあげる様にピアスはマジックバッグに入れてあるんだよな。まぁ、最後の一つだけど。

「あぁ!ズルい!幸太ばっかり!」

 後ろの子が出てきた。

「しょうがねぇだろ?俺の知り合いなんだし」

「ごめんねお嬢さん、これが最後だったんだ」

「えー!幸太ちょうだいよ!」

「マジかお前!ちょっ!引っ張るなって!」

「幸太ぁー!」

「わ、分かったから!上げてもいいですか?」

 俺の顔を伺う幸太君。

「しょうがないんじゃないかな?」

 苦笑いの俺に後ろの女の子はガッツポーズをしている。

「じゃあ、頑張れよ」

「「はい!」」

 なんと言うか死ななければいいなぁと思うな。


 ダンジョンの15階層からまたピアスを狙って先に進んでいく。今度は売らずに取っとこう。

 20階層も難なくクリアして21階層。

 まだフィールド型は終わらないのか。

 今度はシルバーウルフかよ!

 まあ、倒せなくはないけどねと、ダガーを構えて突進する。

「ーッシ」

 と、ミスティも加わってくれて助かるな!

 毛皮のドロップだけだと思ったらこれは、バックルだな、狼が形どられている。

 思えばオオカミのやつばっかりだな。

 ウルフバックル…スピードが上がる。

 鑑定で見たらそう書いてあった。ならつけるしかないかと今のバックルから付け替える。

「多分レアドロップ」

「だよな!こんだけ毛皮ばっかりだしな!」


 22階層、ミノタウルスはスピードで勝ってるから負けはしない!23階層オークジェネラル、ここは集落を作っていて単純に倒すだけでは済まなかった。指揮しているオークジェネラルがいるのでなかなか手強かった、最後にジェネラルを倒したがその後ろには子供のオークなんかもいて嫌な気分になった。集落ごと潰したがな。

 24階層、ワイバーンだ。

 ここはミスティが落としたワイバーンにトドメを刺す係だった。

 そして25階層。ボス部屋に入るとゴブリンキングとゴブリンの大群だった。


 思いっきり動けるなと、初めて本気で動いたと思うが、自分がこんなに早く走れるなんて思わなかった。ゴブリンの軍勢の中に入って斬り裂き動いて蹴り上げ斬りまた走る。

 何体斬ったかわからないが魔法も使いながら思いっきり暴れた。最後のゴブリンキングを倒すと王冠とボーリングの玉くらいの魔石を落として消えた。

 宝箱は金貨25枚だった。

「っはぁ、はぁ、はぁ、はぁ、大丈夫か?」

「こっちには来なかったもの」

「そうか、ちょっと休憩」

 とその場で寝転がる。


 疲れたなぁ。

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