第7話 勉強会
俺の車がやっと帰ってきた。
まぁ、最近の軽自動車は乗り心地も悪くないからよかったけどな。
あれから、少し考えた。俺が先に行って情報を流すのもありだな。15階層まで行った俺もバカだった、一歩間違えたら死んでいたと言うことだから。
と、今日はギルドで15階層までの俺の分かってる範囲を職員に教えることになっている。
ギルドの駐車場に車を停めて、ギルドの中に入るとギルドの受付の人にその旨を伝えてな別室に入るといつもの人の横に大柄な体格の人が一人と女性が一人座っていた。
「忠野さん、ご紹介しますギルド長と副ギルド長です」
「わざわざすまんね、今回のことは悔やんでも悔やみきれない」
「忠野さん、よろしくお願いします」
と二人は頭を下げた。
と言う感じですね。ホワイトボードにいっぱい書いたり消したりしながら説明した。
「15階層でオーガか、まぁ、全ての素材を出してもらったからそうなのだろうが」
「これは冒険者のレベルをぐんと上げなければいけませんね」
「だな」
「忠野さん、レベル上げの教官に」
「すいません、俺は一冒険者としてありたいです」
「そうだぞ?今野?先に進むべき人間がいてこの情報が入ってくるんだ」
「そうですね。忠野さんは行けるところまで行ってもらって私たちに教えていただけると嬉しいです」
と副ギルド長もいってきた。
「はい、今野さんすいません」
「あはは、ギルド長の言う通りですね、僕が間違ってましたよ」
今野さんはすこし反省しながら言う。
そうして勉強会は終わり、そのままダンジョンへ向かった。もう一度1階層から攻略する。今度は地図を作るつもりでマッピングしながらだ。
「へぇ、ここにも扉があったのか?」
マッピングしながら動いていたら1階層に扉があった。
扉を開くとそこには女性が倒れていた。
周りを見ると行き止まりの様だな。
ここは淡い光が漂っていて不思議なところだ。
「おい、大丈夫か?」
「…カハッ!はぁ、はぁ。はぁ」
「大丈夫か?」
「は、はい」
「よかっ!え。えるふ?」
長い金髪に尖った耳、整った顔をしている。
「そうですけど。ヒューマンの方ですよね」
「あ、あぁ、君は別の世界から来たのか?」
「ここはルバリオル大陸じゃ?」
「そんな大陸はないな」
「じゃあここは?」
「日本という小さな島国だな」
「じゃあ私はダンジョン変動に巻き込まれた?」
「ダンジョン変動?」
「数100年、数千年に一度、ダンジョンは変動するんです」
「そうなのか?それでこんなところまで」
「私の他にエルフは?」
「今の所いないな」
「ふぅ。なんてことでしょうか」
俺よりも背が低いな、それほど高くはないんだけどな?で、肝心のエルフは酷く動揺しているようだが、
「まぁ、しょうがないですね」
衝撃だった。
「い、いいのかそれで?」
「はい。エルフは寿命が長いんですが、それは知ってますか?」
「あぁ、何かの本で読んだぞ」
「だから比較的楽天家が多いんです」
「そうか、なら言っとくが人間、ヒューマンと言えば良いか?は長生きのためならなんでもやる様な奴がいる。例えばエルフの生き血を飲むとか」
サイコーにサイコなやつしかしないだろうけどわからんな。
「じゃあ、これまでの国とあまり変わりませんね。エルフを捕まえてそう言うことをするヒューマンもいましたし」
「いたのかよ!はぁ」
「私は実に幸運です、あなたはそんな人じゃない」
まぁ、俺にはそんな趣味はない。
「今までどうやって生活してきたんだ?」
「幻影の術で耳を隠したり、ダンジョンで過ごしたりですかね?」
「そうか、そんなことができるなら大丈夫だな」
「待って!貴方は私のことを助けてくれました、だから恩返しがしたいです」
「ならまずは耳を隠せ、エルフなんてしれたら大変だぞ?」
「はい!………」
「すごいな。耳が見えなくなった」
「はい!これで良いですか?」
「それと服だな、そんな服はここにはないぞ?」
ヒラヒラで向こうが透けそうな服だ。
「服ですか?それはどうしようもありませんね」
「はぁ、リラは持ってるのか?」
「まぁ、ある程度は?」
どの程度だろうか?
「それで買える服があるだろ?」
「これもリラで買った服なんですが?」
「そうか、安価な服はないのか?」
指で操作している様だがなんとも言えんな。
「わかった、俺が買うから」
「ありがとうございます」
「はぁ、どうしたもんかな」
俺は女物の洋服で一番安価な服を一着リラで買った。
「これに着替えろ、向こう向いてるから」
「はい!」
「着替えました」
「よし、後ろ前が逆!くるしいだろ?」
「はい、そんな服なのかと思って」
「早く直せ」
「んしょ、んしょ」
「できました」
「そうそれで良いが。なんで下着まで脱いでるんだ?下着は着たままでいいぞ」
下着が乱雑に落ちている。
「わかりました!」
はぁ、手間のかかる女だな。
「はい、この服はどうしましょうか?」
「収納はないのか?」
「ないです」
「なら俺が持っといてやる」
「はい!」
マジックバックに突っ込むと、
「マジックバックですか?戦争の種になりますよ?」
「そっちの国でも珍しいのか?」
「はい!それで戦争が起きましたから」
「そ、そうか」
これからもあまり見せない様にしよう。
「よし、ダンジョンから出るぞ?」
「はい!よろしくお願いします」
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