第6話 5階層
時計を見ると18時か、まぁいい感じに動けたし、いいとこまで行っただろ?
ギルドの受付に行き買取をお願いする。まずは鬼の皮を出した時点で別室へ。
「今日は何階まで?」
「15階層までいきました」
「え?ええー?本当ですか?」
「はい、これがオーガの皮です」
オーガの皮をポンと出してみせた。
「商品を買い取らせていただくということで?」
「はい」
オーガの皮一千万、金棒が二百万、など高値が続く、グラスウルフの毛皮なんて一枚二百万円だぞ!おかしくなってくるな。
結局五千五百七十万円になってしまった。
「いいんですか?」
「いや。こちらとしても他のギルドよりいち早く色んなものが手に入りました。これからは値段は下がって行くでしょうけど、ここは思いっきり破格の値段で冒険者をアピールしたいんですよ」
「あぁ、そう言うわけですか!」
「はい!後はそうですね、リラはご存じですか?」
リラってショップで使うあのリラ?
「まぁ、持ってますしね」
「ですよね!金貨は?」
「全部リラに変えましたよ?」
あんな重たいものをいちいち持って返ってくるわけないだろ。
「そうですか、今度金貨を持ってきてもらうわけには?」
「いいですけど何故ですか?」
「ありがとうございます、金貨も買取するんですよ。リラの方が良いものがありますからね」
なるほどなぁ。確かにリラの方が魔道具を買う時に便利だしな。
「分かりましたけどこっちもリラを集めてるので」
「十分分かっております!見本になる様にとのことを上から言われまして」
「そっか。見本なら数枚で大丈夫ですよね?」
「はい!ありがとうございます」
「よし、では」
「はい!よろしくお願いします」
こうして長い一日が終わった。
いまはもう20時だ。
家に帰って飲んだら寝るだろうな。
次の日は昼前に目が覚めた。
昨日は寝付けずに深酒をしてしまった。
会社に退職願いを書かないとなぁと思っていたら、連絡が来て会社にダンジョンができたので会社が潰れてしまったらしい。会社都合なので退職金は全額出るそうだ。こっちとしては願ったり叶ったりだ。
さて、金貨なら5階層でも取れるしまた1階層から走るか!
軽を駐車場に停めてギルドの中に入る。
昨日の最高買取価格と大々的に貼ってある。
みんながすげぇなぁと上を見ているうちにダンジョンへの入場手続きを済ませて1階層から走って行くと、5階層で待ちが発生していた。
「あ、忠野さん!」
「お、本田さん」
ちょうど前が本田さんだったので隣に座って話をする。
「ここまでくるのに苦労しましたよ」
ここまでで強いモンスターはそんないなかったけどな?
「え、そうなんですか?」
「はい、地図もないし、オークも強いし」
そっか地図はいるか。でもなおさら、
「もうちょっとレベル上げた方が良いですよ?」
「え?」
「ここのボスはグレーウルフの群れですから」
前にいた連中もギョッとしている。
「本当ですか?もしかして昨日」
「はい、ここは攻略しましたよ?」
「あ、あの恥を忍んで俺に戦い方を教えてください!」
「本田さん頭をあげてください、あれならここを一緒に攻略しますか?」
「あ、ありがとうございます」
「あの!私たちも見てみたいんですが!」
これで死ぬ人が少なくなれば良いか。
「じゃあ、みんなでいきましょうか?だから5階層のボスだからって油断しちゃダメってことを喧伝してくださいね?」
「分かりました!」
「俺もそうしますよ!」
「あ、終わったみたいなんでいきますか?」
「はい、あ、パーティー機能使いませんか?」
「まぁ、良いでしょう」
パーティー機能を使えば経験値が分配されるからな。でもそれだけじゃなくて俺の位置もわかるからそれで分かってくれるだろう。
「じゃあいきますね」
中に入ると酷い有様だった。数十名の冒険者が死んでいた。
「うっ!」
「これは」
「グレーウルフの群れは決して弱くないですから!」
『ガルルルル』
「相当気が立ってますね、じゃあ、行ってきますからよく見といてください」
俺はスピードに任せてウルフの後ろに回ると首を斬る。
それを6回繰り返しただけだ。
「す、すごい」
「あのひとなんなんですか?」
「うわ。経験値が入ってきてレベルが上がる」
「というわけですね」
とりあえず一人一枚グレーウルフの毛皮を上げて、宝箱の金貨は俺が手にした。
「どうでした?」
「もう言葉になりませんよ」
「すごい人なんですね!」
「もっとレベルを上げないとな」
死んだ人のカードを手に1階層に戻る。
ギルドにそれを伝えると、カードを手にしありがとうございますとお礼を言われた。
「5階層のボスはグレーウルフの群れだぞ!」
そして5階層はグレーウルフの群れです。と書かれた看板が建てられた。
そして金貨を渡したギルド職員は少し寂しそうな顔をして受け取っていた。
振り込まれた金額は金貨一枚で百万円、五枚あったので五百万円か、それよりもダンジョンのことを昨日伝えるべきだったと、今更後悔していた。
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