第3話 冒険者


 被害マップと言っていいんだろうか?スマホで写した画面を見るとこの近くにもあるのでそこに向かう。

 そこは神社の境内だ。

 まだ生きている人がいる様でなぜか動かないな。大きな目玉のモンスターに睨まれていてゴブリンどもが近くを囲んでいる。

 先手必勝!疾風怒濤を使って目玉を斬るとそれまで動かなかった人が散り散りに逃げ惑う。

 俺は目玉のモンスターにトドメを刺そうとジャンプすると目玉が大きく目を開けて光を放つが何をしているのかわからないままダガーを刺して倒してしまった。

 後で気がついたがあれは麻痺を誘発するのではなかったのだろうか?

 ドロップは小さなバックと鍵だ。バックはヒップバックに似ていてこれも魔道具なのだろうな。一応つけてみると邪魔にならないので儲け物だ。宝箱からは金貨が入っていたので画面に入れて、あとガチャ玉が入っていたので開けると『スキル 毒無効』と言うのが入っていた。

 散り散りに逃げてた人達ももう大丈夫と分かってそこにへたり込んでいる。

「大丈夫ですか?」

「は、はぁ。なんとかなりました。ありがとうございます」

「これが、防災マップ?だそうですのでみんなにも見せてください」

「スマホは…あった。はい!わかりました」

「よし。あとは近くはもうないな」

 ここで最後だった様だ。

 自宅に戻りビールで疲れを癒すのとニュースを見ていると自衛隊が他のところはやってくれたみたいだな。

 シャワーを浴びて疲れが出たのかベッドに横になるとすぐに寝てしまう。


 翌朝、早くに目が覚めてニュースを見るとやはり東京だけに密集していたようだ。

 会社も被害にあった様ですぐには復旧しないから有給扱いになった。

 それにしても昨日は酷かったなと思い車を見に行く。ベコベコになっているな。

 とりあえず保険屋に電話すると保証すると言われて車屋に持って行った。


 良かった。薄給の俺ではまた買い替えるなんてキツイことにならなくて良かった。一応RV車だから少しは頑丈のはずだが昨日は体当たりもしたしボコボコになっても仕方ない。


 仕事が始まる前に出来ればいいがな。代車は軽だから小回りが効くがやはり慣れた車がいい。


「ふぅ。後は何をって、飯買いに行かないと何にもないな」

 冷蔵庫の中を見てビールくらいしかないので近くの昨日行ったスーパーを見てみるとまだ昨日のままと言うことはもう一つ向こうのスーパーに行かないといけないな。


 スーパーで買い物を済ませて帰り道はやはり壊れているところが多いな。

 もう少し買い溜めしてくれば良かったかもな。お一人様どれだけって決められてたのが痛い。


 家に帰りつきソファーに座ってニュースを見る。結局は昨日のはなんだったんだ?とニュース速報で流れてくるのをみるとダンジョンが出来た?嘘だろ。

 いやでも昨日のこともあるしそりゃダンジョンくらいできるだろうさ。


 昨日のダガーなんかはちゃんと拭いて直してある。ダンジョンかぁ。入ってみたい気もするが。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 忠野 健人タダノケント  23歳

 レベル 25(限界突破)

 スキル アクセル 迅雷 初級回復魔法 初級風魔法 麻痺無効 毒無効

 ユニーク 疾風怒濤 

 称号 ラック限界突破

    ボス撃破ボーナス(未)

    ボス撃破ボーナス(未)

 装備 スウェット(上下)

              1123000リラ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 お、またガチャが引けるな。

ガチャを引いてみると『スキル 初級短剣術』と『追撃』がガチャから出た。


 ほう。短剣術とな?やっぱりラックがいい仕事してるのかな?


 ちょっとだけダガーを構えてみる。

「あはは。ダセェ」

 ちょっとだけ厨二の入った俺がやはり23にもなると痛いたしい気がするのはなぜかな?

 昨日は張り切ってやってたのに。


 まぁ、いいやとビールを飲んで寝てしまった。


 翌日も有給だ。

 朝はトーストを焼いて食べると冒険者なるものができているそうだ。早い!速すぎて草生える。ギルドまであって、資格取得は二十歳かららしい?取りに行く?行っちゃう?


「はぁ、取りに来てしまった。でも結構人多いなぁ」

 と列に並ぶと、

「忠野さん!本田です」

「あぁ、駅の!」

「はい!なんかギルドとかダンジョンとか冒険者とか。早すぎないっすか?」

「早すぎるっすよね?てか同い年くらいだしタメ口にしませんか?」

「俺は23っすよ?」

「あ、同じっす」

「マジで?いや童顔にも程があるでしょ?」

「あぁ、よく言われますね」

 と本田さんと喋ってると俺の番が来た。

「本日、健康保険証か免許証は?」

「はい」

「それでは身体測定からです」

「はい」

 

 身体測定も滞りなく終わり、最後にダンジョンボードというものに触る。

 何で出来ているのかわからないが“フォン”という音がしただけだった。

 最後にカードを受け取るがこれはキャッシュカードなんかと一緒になっているのと、これを所持していないと刀剣類の所持は違反になるらしい。

 もう持ってますけどね。


「忠野さん!カード取れました?」

「はい!本田さんもこれから冒険者?」

「あ!あの剣もらっていいかな?」

「あぁ、どうぞ貰ってください」

「あはは、あれがないと冒険者になるのに金がかかるからね」

「え?そうなの?」

「ほらあそこ」

 人だかりができてる場所を見ると武器防具販売店と書かれている。本田さんと一緒に見に行くと。

「高っ!」

「ねっ!こんな鉄の剣が10万円もするなんてね」

 俺は運が良かったわ。

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