第11話

私が気づいた時には、カモメがいなくなっていた。

何も言わずに何処かに行ってしまうのは、心配になる。


「ゴホッ…」


最近咳が出る。風邪?ついてないなぁ…

体もだるい。

カモメ大丈夫かなぁ……


雑木林の方を眺めていると、視界がぼやけていく。


「カモメ…どこ行ったの…?」


ゆっくりと瞼が沈み、次第に体も砂浜に倒れ込んでしまう。


あーあ…また迷惑かけちゃうなぁ…

ごめんね……カモメ…

意識が遠く…暗く…沈む。









『ねぇイルカ?私達って友達?』


「…え、それは…そう思っているけど…違うの?」


『じゃあ…約束してほしいな。私が……死んじゃったらさ、諦めないって』


「なにそれ…やだよ…変な事言わないで…」


『いやいや!最悪の場合だよ!?そりゃあ私だってやだよ!………でもさ、分かんないじゃん?』


「…………」


『もし私が何かで死んじゃってさ、多分イルカは泣いて悲しんでくれると思うんだけど……イルカは1人ぼっちになるからさ。出来たら最後の最後まで諦めずに頑張ってほしいなって。私も悲しいもん…イルカが、諦めて…さ…』


「…………」


『だから約束して。諦めないって……』


「………分かった…」


『もぉー!泣かないでよ!こんな例え話でさぁ!でもありがとー!!私の為に泣いてくれるんだね!イルカ好き!』


「うっうるさいなぁ…抱き着くなぁ…」


『えへへ~』


「じゃあ私が死んでも諦めないでよね…」


『やだぁ~!悲しい事言わないで!やだやだ!』


「約束して」


『……うん。約束する…諦めない』


「…ありがとう」


『……隣にいるのがイルカで良かった』


「………私もカモメで、良かった…」









カ…。……、イ……ッ……!


うるさい。

またカモメが騒いでる。


「…うる、さい…」


目を開けると、また、逆さま…

涙でぐちゃぐちゃな顔をしたカモメ。なんで泣いてるの?分かんない…


ゴホッ…


ゴホッ!ゴホッ!


「ッ!……イ…ッ…!!」


…あ~…吐いちゃった…?分かんない…


「ご、んっ…!…し……っ!だっ…止…!……よう……っ!」


なに……言ってるか分かんない…ちゃんと喋ってよ…

あー、呼吸がつらい……カモメにうつしちゃうかなぁ…

ねれば大丈夫だから…

しんぱいしょうだなぁ…ただのかぜだよ…

だからさ、またかんびょ…してね…?なぜか、カモメがそばにいると……あんしん?するんだよね…

なおったら抱きつく…くらい、ゆるしてあげる…


「て…!リ……まえ…!一緒……う?………ルカ………カ……ッ……?」


なに?……見えない…よ?

あとで…ね…?

ちょっとだけ寝させて……?

休めないじゃん……


「…………カ、モメ……」


「……ルカッ……!!」


「ふ、ふふ…………ぶさい、くな……顔……」


すごい顔……かわいい、のに……


ゴホッ……


「…っ…!………!?……!…!ーーッ……!」




「ごめ、ん…リス……つか、まえれ、なくて……2ひき、いて……私たち、みたい、だなって…おも、ちゃって……逃げられた…て、うそ、ついた……ご……めん……」





「……………‥」





ごめん…


ごめんね…



おこるよね……そうだよね……



怒るのは……おきて、から……ちゃん、と…


だから、ちょっとだけ…ねかせ、て…

やだ、な…おこられる、の……


ずるいかな?…ずるいか、もしれない……



「カモメ……好きだ、よ…」








おや、す…み…

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