朽ちた剣



 その後も手に入れた一応魔剣を使ってスライム狩りをしたクロノはそろそろ日が沈むということで街へ帰ることにした。


 切れ味がいいのに出しっぱは危ないと思うだろうがそこはさすが魔剣ということか何故か鞘もしっかりと存在している。クロノもいつ手に入れたかは分からないが魔剣なんだからなんでもありかと思い特に気にはしていない。


「それにしても剣を買うためにお金を貯めてたからそれなりにお金に余裕が出来たなぁ。

 防具とかはもうあるし…しばらく買う予定はないしな。

 そうだ。せっかく冒険者になってもうそろそろブロンズになるんだからこの街を離れてほかの街へ行くのもいいかもな。

 昔は別の街へ行くとなったら大勢の人達と一緒に行ってたから初めてだしちょうどいいかも。」


 クロノは魔剣を手に入れたことによって浮いたお金で新しい街まで旅をしようと思った。


 街から街までとは言っても少ない人数で行こうとするとなるとそうとう危ないのだ。

 道は多少舗装されてるとはいえ見張りなんてものは存在しないため普通にモンスターに襲われたりする。

 そのため街から街へ移動する時は週に何度か出入りする商隊などに付き添う形で行くのが一般的だ。

 さらに街と街の距離によっては数日かかるところもあるため、戦いの心得がない人は死地に行くようなものである。

 冒険者たちですら基本的にはソロでいる人もランクによっては一時的なパーティーを組んで移動することもある。


 クロノも一人で行こうとするのは危ないと思ったのか、


「やっぱりパーティーを組んで行きたいよなぁ。

 でもブロンズになったばっかりの人と組んでくれる人なんているのか?

 いや、俺と同じブロンズの人だったら可能性はありそうだよな。

 ダメ元で明日からパーティー募集でもしてみるか!」


 クロノはそんなことを考えながら街へ戻った。


 ――――――――――――――――――――


 街へ着いたクロノは早速いつものようにギルドへと向かっていった。


「戻りました〜!」


「おかえりなさいクロノさん。今日もスライムたくさん狩れましたか?」


「もちろんですよ。

 まずはこの素材の確認をお願いします。」


「かりこまりました。暫くお待ちくださいね。」


「はい。

 あ、あとそれと今日俺朝ブランさんが言ってたところに行ったんですよ。そしたら――」


「クロノさん。それは本当ですか?」


「はい…本当ですけど。」


「なんて危険なことをしてるんですか!

 朝あれだけ注意したのになんで行ったんですか!

 いいですか!あなたはまだアイアンという見習いのような立場なんですよ。だから私は朝しっかりと言ったのに…。今回は無事に帰ってこれたからよかったものの何かあったらどうするんですか!」


「でも気になっちゃったから…」


「でもじゃないです!貴方が帰ってこなかったらギルドの方で捜索もしなくちゃいけないんですよ!ほんとにしっかりと考えて行動してくださいね!わかりましたか!」


「は、はい…」


「なんですかその返事は――」


 それからしばらくずっと怒られた。

 考えてみれば当たり前である。

 クロノのためを思って朝注意してくれたのにそれをガン無視して危ないと言われたところに近づくだけじゃなく中まで入ったのだ。注意した側からすれば溜まったものでは無いだろう。


「とにかく、そういう危なそうなところはしっかりと実力がついてから近づいてくださいね。」


「はい…すみませんでした。」


「次からは気をつけるように。


 あら?その剣はなんですか?今朝は持ってなかったですよね。」


「そうでした。俺はこれを見つけたことを言いたかったんですよ。」


「見つけたというのは?」


「この剣はなんと魔剣なんですよ!」


「それは、本当なんですか?」


「はい。確かに魔剣ですよ!なんか洞窟の中にあった扉の奥に封印されてあったらしいです。」


「封印された魔剣…ですか。

 封印されてたということはきっと能力もすごいんですよね?」


「いや、それが…。能力がないんですよね。切れ味がいい剣って書いてあるだけで…。」


「そんな魔剣があるなんて少し気になっちゃいますね。ところでその魔剣の名はなんて言うんですか?」


朽ちた剣ナナシっていう名前です。」


「名前も変ですね。朽ちた剣って名前ですしやっぱり長い間封印されてたことで何かが変わっちゃったのかもしれないですね。」


「ブランさんもやっぱりそう思いますか。」


「そりゃ今まで聞いたことも無いタイプの魔剣ですもの。封印が関係してると思っちゃいますよ。

 それとクロノさんなら大丈夫でしょうけど能力がないと言っても魔剣なんですから大切にしてくださいね。特にその魔剣は何かありそうですし。」


「当たり前ですよ!むしろ特殊な魔剣ってことでワクワクしてます。」


「ならいいですけど…。

 あ、スライムの確認が終わりましたね。

 はい、今回は合計4200コルですね。」


「ありがとうございます。

 それともうひとつ話したいことがあるのですが――」


 一旦スライムの査定が終わったことで話が途切れたがクロノはまだブランさんに話したいことがあるようだ。それはもちろんあれについてだろう。


 ――――――――――――――――――――


 補足


 パーティーについて

 ・パーティーは2~5人くらいで組む冒険者たちのことをいう。基本は前衛後衛サポート全部の役割がいるパーティーを組むことが多い。

 パーティーを組む利点としては旅をする時に一人旅よりも格段に楽になったり、役割がしっかりしていることで自身の強みをしっかりと生かせることにある。

 ――――――――――――――――――――

 ネーミングセンス皆無な自分にとっては某死神漫画の作者のセンスが輝いて見えます。

 もし面白いと思って頂けたら星一でもいいので評価をしていただけると本当に嬉しいです。

 どうかよろしくお願いします。

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