泡沫の夢

◯

　私のくだらない冗談で、あなたが笑ってくれた

　それだけで、胸が幸せでいっぱいになる

　記憶を反芻して、楽しくって仕方がない！

　口角が上がったまんまで、そろそろ表情筋が痛い

　ずっと辛いって思ってたのに

　かんたんな人間だなあ

　たぶん、寝て起きたら忘れて、いつも通りバッドな気分になるんだろうなあ

　これは、刹那的な偶然でしかないから

　泡沫の夢でしかないから

　でも、今はそんなことはどうでもいい

　ただ今は、今は、この幸せを噛み締めていたい

　記憶に焼き付くまで、繰り返し再生したい

　帰りのバスに乗ってる三十分間ずっとあなたのことだけを考えていたし、これから電車に乗り換えてもずっと考えてるだろうし、家に帰って寝るまでもずっと考えてるだろうし、もしかしたら夢でもあなたが出てくるかもしれないけど、起きたら忘れてる