元悪役令嬢DKは元の世界でもフラグ回避を欠かさない!
みるくらて
第1話 わたくしは田中蔵之介
わたくし、アメリア・ペイズリー。
いいえ、本来の名は
「ついに元の世界に帰れたみたい……ですわ」
転生前のわたくしは、ゲーム好きの一般的な男子高生でした。
とにかくゲームが大好きで、しょっちゅう日が昇るまで遊びまくって、目の下にクマができていると友達によく怒られていましたわね。
そんな中、偶然見つけた流行りの乙女ゲームとやらをプレイしていたら、とても面白くてどんどんのめり込んでしまって……
そうして、全てのルートをクリアし、その日の朝方ようやく眠りに入ることができたのに……目が覚めるとわたくしの身体ではなくなっていたんですの。
そう、その乙女ゲームの悪役令嬢、アメリア・ペイズリーに転生していたのです。
しかも、わたくしの運命はゲーム通りどのエンディングでも必ず断罪されてしまうことに気づいて。
もちろん断罪なんて嫌でしたわ。
それからわたくしは必死にフラグを避けて避けて避けまくって……
気がつけば、無事断罪回避できていて、乙女ゲームのヒロインの幸せを見守りながら平穏な日常を送ることができていましたわ。
悪役令嬢として長い時を生きてきたけれど、やるべきことは終わったかのように今またこの世界に呼び戻された。
はぁ。なんだかあっけないですわね。
でも、これでわたくしはまたゲーム好きの平凡な男子高生としての日々を過ごせますわ。
……ってあれ?
「何かおかしいですわ」
身体に妙な違和感を感じたアメリアは、自然と右の手のひらに力を込める。
すると、
アメリアの手のひらの上に、魔力を宿した雫のようなものが浮かび上がった。
「え」
これって、悪役令嬢だった時の……?
乙女ゲームの悪役令嬢アメリア・ペイズリーは、性格も悪くヒロインや攻略対象たちの邪魔ばかりしていたが、そんな彼女にもひとつだけ人より遥かにずば抜けた能力があった。
敵への攻撃魔法としても、弱った味方への治癒魔法としても扱うことができる万能な魔法。
それが、アメリアが持つ水属性魔法である。
どうやら、乙女ゲームの世界から、悪役令嬢の能力を引き継いできてしまったようだ。
な、なるほど。
もしかして、これは現世に戻ってきてもフラグ回避を怠るなという天からの忠告……!?
悪役令嬢として、断罪される未来は回避できたと思っていたけれど……蔵之介に戻っても気を抜いてはいけませんのね。
上等ですわ。
わたくし、
この
元悪役令嬢DKは元の世界でもフラグ回避を欠かさない! みるくらて @colormilk
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