【エッセイ_04】「常に自分の話しかしない人」と、どう向き合うか?

 オーストラリアで半年間生活をしてリフレッシュできたのか、出国前に比べてだいぶ睡眠の質が良くなった。とてもありがたい。睡眠が取れるようになると、アイデアが浮かぶようになる。


 出国前は10年前に比べて企画が思い浮かばない自分に対し、

「もしかして年齢のせい?」と心の中でひそかに泣いていたが、どうやら慢性的な疲労によるものだったらしい。心底ホッとした。


 アイデアは思考とも言い換えることができる。海外へ行ったことで半強制的に仕事を減らし、時間に追われない生活が続くと心にスキマができて、自然と思考が深くなった。その結果、長年肌感覚でおかしいと感じていたあることに対して、自分なりのジャッジができるようになったのである。


 前置きが長くなったが、年に1~2回程度会う(&時々SNSでコメントを残しあう)知人で「自分の話しかしない人」がいる。年上だし、友だちと呼べるほど仲良くもないけど、いつもフレンドリー。変わってるな~とは思うけど、悪い人ではない。年下のわたしに仕事の話をいろいろ教えてくれているんだろう。そう思っていた。しかし、それはどうやらプラス思考に取りすぎていたらしい。


 おかしいと気づいたのは、そう、心に余裕が生まれてからだった。


 わたしのSNSにコメントはくれるけど、コメントに対しての返信に「いいね」を押さない。LINEで自分の近況報告はするのに、わたしが近況報告をするとスルーして、かぶせるように自分のことをたくさん綴ってくる。


 時は満ちた。


 年に数回起きる違和感ありありのこの現象に向き合う心の余裕は、もうできている。SNSやLINEで感じていたことが確信となる日がやって来たのである。


 先日、久しぶりにその人と会ってお茶をしたのだが、予想通り一緒に過ごした50分のうちのほぼすべての時間をその人は自分の話で埋めてしまった。


 最後に会ってから今日まで何が起きたかをひたすら語っていたが、会話のキャッチボールが成立していないこの状況にこの人は疑問も感じていないだなあと実感。その間、わたしはどんな態度で接していたかというと、そ知らぬ顔でお茶を飲みながら相槌を打って過ごした。


 こういうタイプの人は「うん、うん」と話を聞いてくれる人なら誰でもよくて、その誰でもいいメンバーの一人がおそらくわたしなのだろう。


 だが、ここで思考をもっと深めたい。

 自己主張が強いタイプとも言えないだろうか?




 職業柄なのか、周りには自己主張が強い人が多い。この「自己主張が強い」をさらに大別すると


 ① わかりやすく自己主張が強い人

 ② 一見ソフトなのに、常に自分の話ばかりする人


の2種類のタイプが存在する気がする。

 ① のタイプはわかりやすいから、接し方さえ気をつければなんとかなる。

しかし問題は、②のタイプの人だ。


 一見、人の話を聞いているようで、自分の話に誘導する上手さも兼ね備えている。このクセの強さを今まで気づかなかった。


 長年のもやもやが解決したのも、心に余裕ができたおかげだ。心が満杯状態だと判断を見誤り、すぐに片付くものも片付かなくなってしまう。


 前述した人に対して下した自分なりの決断はというと、表面では今までと変わらない付き合いをするが、本音の部分ではもう5年ぐらい会わなくていい、と本気で思っている。

 どんな人であれ忙しい時間を割いて会うのであれば、自分という存在を大切にしてくれる人と時間を共有したい。


 ちなみにその人は、男性と女性のどちらだと思いますか?


 答えは、「イセンダノャシンコキ」です。 ←右から読んでね。

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