【エッセイ_01-2】凶を3回引いた女(後編)
2019年は厄年でもないのに対人関係で面倒なことが頻繁に起こり、
「こんなにしんどいのは2012年以来だな」とうんざりしていた。
特に年齢の離れた女性からの理不尽な言動に悩まされ、言われっぱなしでどうかわしたらよいのかわからない自分のふがいなさを痛感し、40歳も過ぎたのにわたしって…と落ち込むことが多かった。
そこで翌年を良い年にするために、年末は神社やお寺へ厄落としツアーを一人で断行。意気揚々と出かけた最初の場所が、比叡山だった。
標高が高い分、気温は低い。
冷え性で寒さが苦手なわたしも、この日に限っては心が晴れ晴れとしていた。
ツアーは3日間を予定していたが「しっかりお詣りして、今年受けた辛さをすべて終わらせよう」と自分を奮い立たせ、この日に向けて日々仕事に勤しんでいたからだ。
本堂での参拝を早々に済ませ、ホッと一息をつく。
「おみくじを引いたら、写経体験をしようかな」
「体験の前に時間があれば、ランチしてもいいな~」。
これから始まる3日間に想いを馳せるだけで、心が明るくなっていくようだった。
そして、一点の曇りもない心で引いたおみくじはというと…。
凶。
一瞬にして、頭が真っ白になった。
「えっ、ここで凶を引く!???」、何度も自分に問いかけた。
出だしは上々だと思っていたのに、予期せぬ方向から強烈パンチを受けノックダウンしたわたしは、重い足をひきずりながらロープウエイへ乗って京都へ。ケーキを食べて少しだけ活力を取り戻した後、ここぞと思う各神社へお詣りをした。
3日目にあたる大晦日の朝、比叡山での出来事がもやもやして忘れられなかったので、急遽、予定になかった安井金毘羅宮へ行き悪縁を断ち切った。ここでお願いをしたのは、神様へのお願いではなく自分を律するための願掛け。
「悪縁を断ち切るために、自ら行動ができますように。まあいっかと流さない自分になれますように」と。
押され弱い自分の性格をしっかりと認識し、 2020年以降は意識を変えて行動する! と心に強く誓った。
その後、精神的ダメージを与える人たちとの関係を断ったおかげで2020年の春以降は心がラクになった。ラクになったら、睡眠が深くなった。夜中に目を覚ますこともなくなった。これが本来あるべき生活だよね、とホッとしてる。
ここでの教訓。
神様に頼っては、ダメなんだと思った。
神様はいろんな人の願いを聞かないといけないんだもの。わたし一人にかまってはいられない。
おみくじも「神様お願い!」という気持ちで引かずに、自分を律するためのものとして引くと凶を引かないのかもしれない。いや、凶を引いてもこんなにショックを受けずに済むのかもしれない。
だって、自分の人生を切り開けるのは、自分だけだからだ
(でも、時には誰かに甘えたいよ~。神様―!(涙)。
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