第2話 魔法使いの出番ですよ!

 「なあ悪魔神官よ、勝手に転けただけだよな」

 「はい、間違いありません」


 だよな、我輩悪くないよな!


 「ていうか、あんなんでよくここまで来たな」


 あんな動くのもやっとでここまで来れるとは到底思えんのだが……。


 「魔王様が待ちくたびれていましたので配下の魔物は全員引かせましたゆえ」

 

 どうりで最近悪魔神官以外の部下がいないはずだ。

 不思議に思っていたんだが解決したわ、この数日食事が寂しかったぞ、質素なものしか出なかったがコイツが作ったんだな。

 正直まずかったぞ。

 

 「魔法使い、早く回復を!」

 「そんなにうるさく言わんでも聞こえとるわ、よいしょっ」


 手に持つ魔法使い特有の頭に赤い宝石のついた大きな杖をつきながら90度に曲がった腰を労わりながら向かっていき、盗賊の前で呪文を唱えようと杖をかざす。


 えーっと、勇者も背を向けて隙だらけなんですけど待ってないとだめですかねぇ。

 遊び人も動きたくないのか座ってしまったし、いや疲れてるのかな? あのお腹でた体は体力の消耗が激しそうだ。


 しかしあの体と年齢でパッツンパッツンの際どいセクシーなバニー服を着るのはどうかと思うのだがウサギ耳もちゃんと付いてる。

 顔も真っ白に塗りたくってシワでひび割れてるし、濃い真っ赤な口紅をつけている。

 ――正直目に毒だぞ。


 「えーと、えーっと……回復の呪文はと……」

 「早くするんだ! 急がんと魔王にやられるぞ!」


 うーん、もういつでも倒せそうなんだけど。

 まさか呪文を忘れてしまったのか天井をみて顎に人差し指をやる。

 

 まさかとは思うが――。


 「あんたうるさいから呪文飛んでしもうたじゃないか!」

 「何!? 魔王、姑息な手を使いよって」


 いや、俺じゃないよな絶対!

 てか本職が大切な回復魔法を忘れちゃだめだろう。


 「爺さんのことじゃ!」


 ほら、人のせいにするから勇者が杖で叩かれた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る