日常に溶け込む “違和感”―4

―――時間はこの前の夜へと巻き戻る。

白い巨人から姿を現した今日転校してきた級友【秋桜マキナ】。

彼女と白い巨人によってミカサをさらおうとした不審者達は撃退された。

色々と突然なことが起こり過ぎてたか思考が追いつかず、頭の中が

真っ白な状態になっていたミカサ。

そんな中、白い巨人から姿を現したマキナ。

白い巨人から見下ろす様に視線をミカサへ合わせた彼女は

状況に混乱するミカサにこう答えた。


マキナ:「――――今は多くは言えないが、これだけは云える。

キミはワタシの“マスター”だ」

ミカサ:「―――――マスター?」


どういうこと?と疑問しか出てこないミカサ。

困惑する彼女を見かねたのか白い巨人がマキナに声を掛ける。


?????:『少尉殿、流石に言葉が些か足らないかと』

マキナ:「そうか?とはいえ、機密に関わる部分もあるだけに」

?????:『1から10まで説明する訳ではないので言葉足りないのは事実ですよ』

マキナ:「――――【クロウ】、AIなのに妙に細かく言うなおまえは」

クロウ:『AIだからこそ適切に指摘するものなのですよとは大尉殿の読んでいた

作品だったと思いますよ』


白い巨人【ガンクロウ】に搭載されているAIユニットである【クロウ】と

そんなやり取りをしているマキナを余所に放心状態に近かったミカサは我に返る。


ミカサ:「えっとこの状況はどういうことなの?」

クロウ:『どうしますマスター。“本部”からはまだ指示は来てないですがある程度説明しますか?』

マキナ:「―――――司令達からは時期的にまだ早いと言われていたが・・・・・」


今だ状況を呑み込めないミカサにどう反応するべきかと悩むマキナ。

そこへ通信をキャッチしたことを知らせる様にクロウが言葉を発する。


クロウ:『少尉殿、【ロングスカウター】殿から通信です』

マキナ:「―――わかった、繋いでくれ」

ロングスカウター:『こちら早期警戒管制機。スルーズ11、聞こえるか?』

マキナ:「こちらスルーズ11、ロングスカウター、逃亡した連中の確保は?」

ロングスカウター:『全員確保が完了した。それとそろそろ該当地域の封鎖が限界に近い。帰還を推奨するがターゲットの様子はどうだ?』

マキナ:「彼女は特に害はない。多少、混乱の様子を見せているが心身共に問題ないと判断できるが」

ロングスカウター:『そうか。とりあえず彼女への説明は後日するということを指示を受けている。今はとりあえず帰還してくれ』

マキナ:「この場で伸びている連中は?」

ロングスカウター:『後で部隊を回して迅速に処理する。無論、今回の騒ぎについてもだ』

マキナ:「了解。【ガンクロウ】と共に帰還する」


ロングスカウターとの通信を終えてマキナは改めてミカサの方へ視線を向ける。


マキナ:「ミカサ、すまないがこのまま失礼することになった」

ミカサ:「え?」

マキナ:「後日、ちゃんとした今回を含めた説明をする予定だ。故にここは帰還する、【クロウ】!!」

クロウ:『了解、【WIZARD(ウィザード)】起動。現地点からの離脱を開始』


白い巨人に再び乗り込むマキナとそれに伴い、その姿を徐々に薄らと見えなくしていく。

まるで魔法の様に白い巨人は完全その場から消え去った。

ミカサは結局その場に1人取り残され、しばらくポツンと棒立ちしていた。

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