日常に溶け込む “違和感”―3

美神ミカサは机に突っ伏していた。

疲労から来るものでもないし、睡眠不足によるものでもない。

ただ、考え事をしてるが故で、表情を今は誰にも見られたくないからだ。


ミカサ:「―――――――」


ミカサは黙して考えた。

内容は云うまでもないこの前の出来事だ。

突如としてその姿を現した謎の覆面軍団とそれが操る鉄の巨人【レイヴン】。

同様に突然現れ、それらを瞬く間に沈黙させた銀色の巨人。

そこから姿を現した少女――――“秋桜マキナ”

時期外れの転校生。

出逢ってまだ浅い時間ながらも交流した不思議な感じを抱かせる少女。

そんな彼女のまだ知らない別の姿。

表と裏の様な二面性とも取れる彼女に魅了されると同時にどこか“違和感”を

ミカサは抱いていた。


ミカサ:「―――――――」


まるでアニメやマンガ、ゲームを思わせる様だとミカサは思った。

だとすれば自分は主人公かそれともヒロインか。

はたまた事態を呑み込めていないだけのモブか。

あの出来事の後、ずっと彼女はそんな違和感が楔として残っていた。

そんな突っ伏している彼女にその違和感を抱かせている少女が声を掛けてきた。


マキナ:「どうした、ミカサ。体調が優れないのか?」


隣の己の席にカバンを降ろしながらマキナはミカサに語り掛ける。

淡白な物言いではあったがそこには少なからず不安の色を混ぜている感じもした。

突っ伏したまま、ミカサはマキナに返事をする。


ミカサ:「おはようマキナ。――――別に問題はないよ。ちょっと考え事してるだけ・・・」

マキナ:「――――そうか。その様子をしている人間は少なからず悩みを抱いていると聞いてたが」

ミカサ:「誰が言ってたの?」

マキナ:「私の知人だ。日本人ではないが彼から色々教えてもらった」


その知人がマキナのどこか間の抜けたというか不可思議な行動の原因か、と頭を過ぎったが

今はさほど重要な要素ではないと判断するミカサ。

すぐに返答できたことに安堵したのか席に着くマキナ。

そこに級友たちも近づいてきた。


メイ:「おはようマキちゃん~。ミっちゃんは学校来てからずっとあの調子なんよね~」

コジロウ:「おはようでござる。ミカミカ殿は問題ないと言っているってござるが友としては相談に乗れるなら乗りたいでござるが

おそらくは拙者らに相談できない内容ではないかと思ってるでござる」

ミカサ:(――――鋭い)


メイとコジロウの言葉に聞き耳を立てていたミカサは内心そう思った。

今、自分が抱えている悩みは彼らに共有できるものではないからだ。

ミカサは隣席に座るマキナを突っ伏したまま顔を少し動かし横目で見る。

同時に“あの出来事”を思い返していた。

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