“普通”の終わり、“日常”のはじまり―10

ミカサは【アームズレイヴン】のことはよくわからないが

不審者たちの反応から彼らにとっても予想だにしていない事態であることは

間違いない様だ。

慌ただしい様子を見せていた彼らだがそれが一瞬に鎮まることになる出来事が

起きた。

【サイクロプス】の頭部が急に吹っ飛び、宙へと舞ったのだ。

弾き飛ばされた拍子でそのままバランスを崩し、倒れ伏す。

時間差で吹き飛ばされた頭部が落着する。


全員:「「「!!!!???」」」


あまりの唐突さに声を失う全員。

そんな彼らを余所に【サイクロプス】を倒した“ソレ”が

存在をアピールするかのようにその姿を彼らの前に晒す為に擬態形態を解除する。

姿を現したその機体は白とも銀とも云える機体色が月夜の光でより幻想的に

魅せた。

外見の意匠は漫画やアニメなどで見かける忍者やサムライを彷彿とさせる様な

イメージを感じさせる。

不思議と吸い込まれる様なそんな雰囲気も抱かせているとミカサは感じた。


?????A:「し、白いAL(アームズレイヴン)!!」

?????B:「クソ、やはり“ブリューナク”の連中か!!」

ミカサ:(ブリューナク?)


不審者たちは明らかに動揺している。

ブリューナクと呼ばれた白いALのことを知っているからだろうが

どこか気圧されている印象を抱かせる。

それを払いのける様に不審者の男の1人が声を荒げながら叫ぶ。


?????A:「ええい、慌てるな!幾らブリューナクでもたかがAL1機だけ!!恐れる相手ではないはずだ!!!」

?????C:「もう1機の【サイクロプス】の擬態を解除しろ!!」


声に応える様にもう1機の隠れていた【サイクロプス】が姿を現す。

白いALの背後に現れた【サイクロプス】は腰部に当たる部分に備え付けていた大型の実体型の戦闘用ダガーを手に持ち、白いALに向けて突撃する。

白いALは背後をまるで気にしていない素振りで微動だにしない様子だ。


ミカサ:「危ないッ!!」


ミカサの声が響いたと同時に白いALの脚部の装甲が開くとそこから取り出した

武器を展開する。

それは長い棒状の所謂如意棒の様に伸び、一気に槍を思わせる様な長さとなると

白いALは巧みに操り、敵ALのダガーを弾き飛ばす。


ALオペレーター:『!??!?!?!』


驚きを隠せない敵ALを余所に白いALは追撃を掛け、【サイクロプス】の頭部に

長棒の先端を叩き込む。

先に倒れ伏した機体に続く様にそのまま地面へと倒れ伏す【サイクロプス】を余所に残心と見栄を切る動作をしながら不審者たちに視線を向ける白いAL。

虎の子のALが2機とも倒されたこともあってか蜘蛛の子を散らす様にその場から

逃げだしていく。



?????:『敵AL2機とも動作及び機能停止を確認。敵性対象はこの場より逃亡した模様』

?????:『そちらは別動隊に任せる。他に敵性反応は?』

?????:『対象の沈黙確認及び周囲に敵性反応、ナシ』

?????:『周囲の索敵はそのまま、装備はセミ・オート・セイフティに移行』

?????:『ラージャ。セミ・オート・セイフティ移行後、周辺索敵を継続します』


敵対していた者達の撤退を確認しながらAL(アームズレイヴン)に搭載されている

AIと少ないやり取りをした後、機体の搭乗者である彼女は機体の頭部を含めて

“護衛対象”の少女に視線を向け、外部スピーカーの音声を入れて自身の声を外に出力する。


?????:『――――ケガはないか、美神ミカサ』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る