“普通”の終わり、“日常”のはじまり―9

ミカサが諦めを感じ始めた矢先だった。

素顔を隠した覆面の不審者の1人が唐突に横へ吹っ飛ばされた。


ミカサ:「なに?!」

?????D:「!?!?!?!?!?」


ミカサ始め不審者たちも驚きを隠せなかった。

おもむろに吹っ飛ばされた不審者の方へと視線を向けるミカサ。

上半身を両腕ごとワイヤー状の拘束具の様なもので固定されており、

男は足をバタつかせながら身動きが取れず必死にもがいている様子。


ミカサ:(一体何が――――)


困惑しているミカサを余所に不審者たちは慌てながらも

冷静さを徐々に取り戻しつつあった。


?????A:「“やつら”か!?」

?????B:「落ち着け!こちらも用意はしているんだ!!」

?????C:「光学擬態(ステルスカモフラージュ)【MIMIC(ミミック)】を

解除しろ!AL(アームズレイヴン)を起こせ!!」


するとミカサの目の前に巨大な物体が姿を現した。

それは人の形をした鋼の機械。

ミカサは以前、友人の後藤から見せてもらったカタログでその機種を思い出す。

一つ目の巨人を彷彿とさせるその外見から軍事・戦闘用として開発された人型作業機械【レイヴン】の軍事目的などを目的に開発された【アームズレイヴン】で初めての純戦闘用として設計された機体。



ミカサ:「確か、【サイクロプス】だっけ――――?」


小声でミカサはその機種の名前を言う。

しかし、目の前の10kmほどの鋼鉄の巨人はカラーリングを始め、細部がカタログに載っていた画像とは異なることをあまり知識のないミカサでもわかるぐらいの変更が成されている様だ。

ダークカラーの塗装が成されている一つ目の鉄巨人【サイクロプス】はその一つ目を光らせると同時にゆっくりと立ち上がっていく。

立ち上がり、仁王の如く真っ直ぐ立ったその姿にミカサは勇ましさと同時に畏怖も抱く。

カタログの画像とはまた違った印象と雰囲気を抱かせるのは自分の置かれている立場故なのかはこの時の彼女はわからなかった。


?????A:「センサーを起動しろ。“やつら”がいるかどうか至急確認するんだ!!」

?????E:『了解!!』


外部スピーカーで応答すると同時に周囲に視線を向ける【サイクロプス】。

モノアイを介して周囲をスキャンし、何か怪しい部分かないかを探っている様だ。

しかし、【サイクロプス】のセンサーには何の反応も無かった。


ミカサ:「――――――?」

?????A:「おい、どうなっている!?」

?????E:『な、なんで反応がないんだ!?ステルスでも反応は微量でもあるはずなのに!!?』

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