“普通”の終わり、“日常”のはじまり―8

ミカサ:「しまった、碌なのがない。買い忘れてた―――」


軽く済ませようとミカサは冷蔵庫を調べたが買い足すのを忘れていたのか

軽食になりそうな食材がなかった。

材料そのものはない訳ではないが仕事に集中したい為か、サンドイッチ辺りが

欲しいと思っていただけに不覚だった。


ミカサ:「―――まだ時間も早いし、コンビニで買って来よう」


仕方ないと思いながら部屋着を脱いで外出用の服装に着替え、そのままマンションの外へ出ていく。

コンビニはマンションから出て歩いて30分程の距離ほどだ。

軽いウォーキング的な意味合いで運動不足を解消するには最適、かどうかはわからないがダイエットの名目としてはどうにかなるはずだと自分に度々言い聞かせているミカサ。

そう思いながら歩いていたが“ある感じ”を感じていた。

それは視線であると思うが視線とも取れない様なやや形容するには経験不足故とも言える“何か”を感じていた。


ミカサ:「――――――?」


周囲を見渡してみたが周囲は一般的な道路と住宅街でこれといって変わった訳では

ない。

夕方から夜へと移ったこともあってか街灯は点灯しており、暗い部分も幾つかあるが

唯一違和感、というよりも不自然なのは時間帯的にはまだ車も走っているはずなのに

今の所、一車両も見当たらないぐらいか


ミカサ:「――――ホラーとかだとなんかイベントありそう、だよね・・・・・」


そんなことをボソリと呟くと急に寒気(薄着だからではない)を抱くと早く買い物を

済ませようと歩みを再開しようとした瞬間だった。

そこに人影が姿を現した。


ミカサ:「!!?!!?」


声が出なかった。

マンガとかだとこういう時は悲鳴や絶叫を上げるパターンが多いけども

現実はやはり誇張とはいかない様だ。

人影は1つではなかった。

複数の闇に隠れるかの様な色合いのこれまたマンガとかに出てきそうなそんな格好の集団がどこからともなく姿を現したのだ。


ミカサ:「な、なに?なんなのアンタたち――――!!!」

?????:「――――――」


ミカサの問いに不審者たちは答えなかった。

バイザーの部分にあるモノアイの様な目を彷彿とさせる部位が互いを見る様に動く。

ミカサの不安が大きく膨れ上がっていく。

自分を誘拐するつもりなのか、しかし何の為に身代金狙うにしても自分や家族は金持ちと云うほどの財力はそこまでないはずである。

なら何の為に?思考が様々なパターンを模索はじき出す様に冴えているのを自分でも感じていた。

そんな彼女を他所にSFチックさを醸し出している不審者たちはじりじりとミカサに近づていく。


ミカサ:(私の人生――――これでオワタもとい終わりなの―――!?)

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