“普通”の終わり、“日常”のはじまり―7

寄り道もせず、そのまま自宅であるマンションまで戻ってきたミカサはふとマンションに入る前に周囲を見渡す。

これといった理由があるわけではないが今朝止まっていた引っ越し業者の車両が気になったからだ。

今朝止まっていた場所に車両は見当たらず、周囲もこれといった車は見つからなかった。


ミカサ:「流石に夕方まで作業はしてないか――――」


ポツリとそう呟くミカサは後ろ髪を引かれる感じを受けながらも

セキュリティーを解除して中へと入り、マンション内のエレベーターへと移動する。

エレベーターへ入ると階層のボタンを押し、その階に到着するとミカサは自分の家の前まで向かい、閉まったドアのカギを開け家の中へと入っていく。

部屋へと移動するとベットにカバンと脱いだ制服を放り投げ、部屋着へと着替えるとリビングへと向かう。

途中、冷蔵庫から飲み物を取り出し、リビングへと付く、手に持った飲み物を一口飲み、一息付くと作業机の椅子へと腰を降ろす。


ミカサ:「フゥ――――」


疲れを吐き出す感じの息を出しながら背もたれに身を任せながら顔を天に仰ぐ様に向ける。

いきなりの転入生に正直驚きはあるがそこはすぐに慣れた。

疑問を抱いたのは帰る時のマキナだ。


ミカサ:「何かを知っているのかな・・・?」


一体何を知っているのかなんて勿論ミカサが知る訳でもないがどうしても彼女の言葉が気がかりだった。

とはいえ、いつまでも気にしていてもミカサが何か出来ることはないのもまた事実。


ミカサ:「――――切り替えて仕事しよ」


残った飲み物を飲み干すと彼女は机に向き直り、パソコンを操作し始める。

ミカサが行っている仕事はプログラミング。

ただし、そこまで高度なモノではなく、いわゆるバグ取りなどそんな感じの作業である。

小さい頃からパソコンに対して色々知識を有しており、昔は簡単なゲームをプログラムして友達と遊んだりしていた。

その縁もあってか小遣い稼ぎ兼生活費として父の友人などからちょくちょくゲームを中心とした簡単なテスター的な仕事をやらさて貰っているのが学校を終えた彼女の主な日課となっていた。

将来的にゲーム関連の仕事に就くかどうかは考えていないが何かしらの手に職的な感じで資格などを得てやっていきたいという目的は大雑把ではあるが考えてはいる。


ミカサ:「いつか自前の会社とか・・・どうなんだろうね・・・」


そんなことを考えながら依頼されたプログラムのバグ取り作業を始める。

その矢先だった。

ぐぅ~とお腹の音が鳴った。


ミカサ:「――――ご飯の方が先かな」

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