第2話 日常に溶け込む “違和感”―1
都内某所。
日常の朝という始まりの時間からにわかに街中から賑やかさが顔を除き始める。
夜明けと同時に静かさが終わりを始め、1日の活動開始を告げる様に
人々は動き出していく。
通勤通学という喧噪の中に1人の男がその流れに乗る様に人混みの中を歩いていた。
黒を基調としたビジネススタイルを彷彿とさせるスーツ姿と普通ならただの一般人と思うが彼の顔には無数の細かい小さな傷があった。
表情も一見すればその道の人間と疑われてもおかしくない人相ではあるが
人混みの中に自然と溶け込めているのは彼が“殺気”を出していないからだろう。
コンビニに立ち寄った後、彼は更に足を進めていく。
しばらくして繁華街から少し離れたオフィス街の一角である高層ビルに入っていった。
エントランスの受付へと歩み、係をしている女性に男は声を掛けた。
?????:「やあ、おはよう」
受付嬢:「おはようございます。本日も貸し切りで?」
?????:「ああ、頼むよ」
受付嬢:「かしこまりました。ご使用中はいつもどりでよろしいですか?」
?????:「ああ、こっちから用事を頼むまでは“誰も近づかない様”に頼むよ」
かしこまりました、と応答する受付嬢に軽く反応した後、エレベーターの方へと
足を向ける。
ボタンを押し、エレベーターを呼び出す。
しばらくして到着したエレベーターの中へと入り、上層階へのボタンを押し、
上層へと昇る。
目的の階に到着すると迷いなく、目的の部屋へと向かい、扉のカギのロックを解除して部屋の中へと入っていく。
部屋の中は広々としたオフィスであり、高級感をどこか抱かせる空間となっていた。
男はカバンを雑にソファーへと放ると同時にデスクへと向かい、ボタンを操作しながら椅子へと座る。
窓を自動でカーテンが覆うとうす暗い室内にモニターなどが姿を現し、分割された
画面からそれぞれ光が灯っていく。
それぞれの画面に6人の人影らしきシルエットが映し出されている。
その様子は絵に描いた様な悪の組織の様な構図とも云えるだろう。
傷有りの男:「よう、待たせたかい?」
?????A:『おはようございます。20分ほど遅かったですね。渋滞に巻き込まれましたか?』
傷有りの男:「コンビニのレジでちょっとな。キャッシュレスは悪くないがトラブルがある時は復旧しなけりゃあ役立たずなのは平時はともかく有事はダメだな。現物以上の信頼を得るにはまだまだ掛かりそうだな」
モニターに映る人物の1人からの質問に男は苦笑込みの表情を交えながら答える。
その反応は気にせず、声を掛けた人物は本題に入る様に口を開く。
?????A:『さて時間も有限なので話を進めましょうか。“事後処理”に関しては?』
傷有りの男:「問題ねぇぜ。アンタらや俺が関わったという痕跡は何も残してねぇ・・・連中に見つかることはないぜ」
?????B:『それならよいのだがな。――――まったく役に立たないPMCだったのが痛手だったがな』
傷有りの男:「それに関してはこっちとしてもすまねぇな。やっぱ“歴”が浅い真新しい連中には荷が重すぎたぜ」
?????A:『こちらの要求も些か問題はありました。事を荒立てるのは後々の
影響を加味した為でしたが』
量子通信の採用もあってかほぼタイムラグもなく、会話がスムーズに進めている為か
特定の間を置かずに話をする一同。
傷有りの男:「―――で、今後はどうなるよ?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます