2冊目 幸せの青い鳥
村のはずれに、古くから伝わる青い鳥を見た者には幸せが訪れるという伝説があった。
しかし、その鳥を見た者は誰一人としていない。
それでも、人々は希望を胸に、毎日のように森へと足を運んだ。
リナは村で一番若い探求者だった。
彼女の両親は早くに亡くなり、彼女は祖母と二人で暮らしていた。
祖母はかつて、青い鳥を探した最初の一人であり、見たこともないその鳥の美しさをよくリナに聞かせて育てていた。
だからリナは、祖母が見つけられなかった青い鳥を見つけることを心から願っていた。
ある冬の朝、霜が降りた草原を抜け、リナは森へと向かった。
空は灰色で、風は冷たく吹き抜けていたが、リナの心は温かかった。
彼女は、この日が何か特別な日になると予感がしていたからだ。
森は静かで、雪に覆われた木々は神秘的な雰囲気を醸し出していた。
リナは、いつものように鳥を探しながら、ゆっくりと歩を進めた。
そして、突然、彼女の耳に美しい鳴き声が届いた。
それは、これまでに聞いたことのない、心を打つような声だった。
リナはその声に導かれるように歩き続け、やがて小さな湖のほとりに出た。
湖の水面は鏡のように静かで、その中央に、青く輝く鳥がいた。
鳥はリナの方を振り返り、その瞳は深い知恵と優しさに満ちているように見えた。
リナは息をのんだ。彼女の目の前にいるのは、伝説の青い鳥だった。
「なんてきれいなんでしょう」
その瞬間、リナは心の底からの喜びを感じた。
彼女は、この瞬間を永遠に忘れないだろうと思った。
鳥は再び美しい声で鳴き、その後、空へと舞い上がった。
リナは、その美しい姿を見送りながら、幸せの涙を流した。
村に戻ったリナは、祖母に全てを話した。
祖母は涙を流しながら、リナを抱きしめた。
「あなたは、私たちが長年探し求めた幸せを見つけたのね。」
その日以来、リナと祖母の周りには、小さな幸せがたくさん訪れた。
リナは人々に、青い鳥を見たという話をし、その美しい鳴き声をまねて聞かせた。
人々は、リナの話に心を動かされ、自分たちの幸せを見つける希望を新たにした。
青い鳥の伝説は、リナがその存在を証明したことで、再び村中に広がった。
そして、人々は理解した。
真の幸せは、遠く離れた場所にあるのではなく、自分の心の中に見つけるものだと。
そして、それは、時には予期せぬ形で現れることもあるのだと。
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