第32話 谷間のアジト
機嫌良さそうにムンクが私の前を進んでいる。しばらく道なりに進んだら右手に普通の人間の村が見えてきた。ムンクが私をどこか?へ連れていこうとしている。
しかし、この村にも寄らないようだ。どんどん進む。
また川が見えてきた、この辺りは水の豊富なところなんだね。
などと思っていたら、何よ、今度はその川に沿って南下するようだ。
だけど、そこ、道じゃぁ無いんだけど・・・
川沿いに歩いてきて、今、深い谷間に入り込んだ。
そらね・・・魔物の気配がピリピリ感じるし・・・
(ムンク? どこへ向かってるの?)
(もう少し、この先、何かある!)
何かあるの? 特に何もなさそうだけど? ただ、魔物は多いよ・・・オークか~
(あるじ~あそこに洞窟がある・・・)
うん? よくわからないが、<地図>で・・・分かった。
この谷の東側のところにあるようだが、目では見えない。
そうか! 認識阻害結界みたいなのがかけてあるの?
まあ、その前に、ここにいるオークたちが邪魔だね、しかもその洞窟らしき場所の横の窪みのあたりを住処としているのか、逆に侵入者の私に向ける殺気が半端ないよ・・・
そらね、オークがまず3頭、私めがけて走ってくる、しかも早い!
あれで体当たりされるだけで、普通は死ねるよね・・・
重圧! で動きを止めて、そうだ!と思って、魔剣シャインを取り出した。
不殺!の斬撃を飛ばす。はい・・・意識なく転がっていますね・・・
邪魔なので、対象に指定して、転送!で、離れた場所へ移動させた。
それを見ていた残りの5頭が、転送された3頭のところへ走っていったよ。
よしよし・・・このまま、しばらく戻ってこないでよ!?
まあ、用心の為に、離れていったオークも含めて、後ろから8頭全部に催眠!をかけておいた。
さて、問題の結界で隠されてる洞窟だけど、もう、前に経験してるしね・・・・
魔力を纏わせた手で触れてみたら、結界が解除されて洞窟の入口が見えた。
なんか、これ既視感? そうだ、あの南の森の盗賊のアジトにも似てる。
雰囲気的にもう使われてはいないようだけど、じゃあ、誰が結界を張ったの?
(あるじ~、そこにある大きな魔石、それワイバーンの魔石。それに魔法が仕込んである。みんな出払って留守になる時には、自動的に結界が張られる仕組みだよ)
なるほど、そんな複雑な仕組み、誰が? そうか! あの魔道具屋なら出来るのかな? ということは、ここは、あの盗賊団の関係かもしれないじゃない・・・
期待して探してみたけど、まあ、すっからかん、もう、使われていないからね。
念のために、一番奥の壁のあたりの気配を探る。鑑定!
ある! 結界がもう一枚張ってあるので、それを解除してみた。
隠し金庫みたいに、小さな横穴が掘ってあって、そこに「物」が残っていた。
書類が残っているよ・・・
スラムのボスからの指示書。
それを見れば、近くの街道を商人や貴族の馬車が通る日付が書かれているものがある。そんな情報をどこから得るんだろう・・・
そんな書類の中に、あの魔道具屋の署名のあるものがあった。これは、「黒」確定の証拠。
それと合わせて、王都の H 当てに魔道具を届けるような依頼書もあった。
王都の H だけではわからないけど、王都の H と繋がっているようだ。
ちなみに、エトワール王都の H の付きそうな貴族や商人を鑑定!で探ってみたら・・・
ヘルマン男爵、ヘリング伯爵、ハッシャ男爵、ヒーラン男爵・・・・
あと、商人も多数出てきて・・・探索を止めた。
多すぎるよ・・・
あとは、ここにも、魔物除けの腕輪がおいてあった。8個。未使用のもの。
それと、革袋にはエトワール金貨20枚、銀貨30枚が入っていた。
ここが使われていないということは、使っていた盗賊たちが掴まって、ここも捜索されたんだろうに、この隠し金庫は見つけられなかったんだね、残念。
とりあえず、ここの書類やその他はすべて、回収しておきましょ・・・
『谷間のアジト』とでも呼ぼう・・・鑑定・地図には名前は表示されなかった。
*谷間のアジト 書類、腕輪、金貨20枚・・・
>魔道具屋
さて、ここまで適当に歩いてきましたが、どうやら追手のようなものは来ないですね・・・まあ、私にまで届かないってことでしょうが・・・・
念のために、昔使っていた谷筋のアジトの洞窟も飛ばしてきてしまいましたが、まあ、あそこには何も残っていないでしょう。
最後に大がかりな捜索がされてましたし。
それにしても、どこから我々の情報が漏れるのか、たまたま見つかるのか?は知りませんが、危うきには近寄らずというのが良さそうですよ、全く。
辺境伯領の市場の店には、留守、休業の貼り紙をしてきましたが、あそこも、そろそろ引き払ったほうが良さそうですな。
この先には、確か、ヘーゲル伯爵領がありました、一度、適当な店舗物件でも探してみますか・・・
スラムのボスはどこに隠れたものやら・・・落ち着いたら連絡が来ることでしょう。でも、あまり離れると、連絡魔石の能力を越えてしまいますし・・・
3か月も経てばなんとか落ち着くでしょうから、スラムへはこちらからでも連絡を繋いでみましょう。
そういえば、もうそろそろでしたかな?
勇者一行が、王都から東西街道を歩いて辺境伯領まで行く予定ではなかったでしょうか?
まあ、我々にとっては、害はあっても利は無いですから、関わらないのが一番!ですけどね。
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