第29話 新しいスキル 

夜中、なんか悔しくて? また、無性に涙が止まらない・・・

そんなに村や村長のじい様に思い入れがあるわけではないはずなのに・・・さんざんこき使われた記憶しかないのに・・・じじい!~ ・・・・


あのまま眠ったんだね、・・・明け方夢をみた。


氷龍の美人さんが私の部屋に居た。

(ヨシノ? どう? ちゃんとやれてる?)

(はい、お陰様で・・・でも、もう、私の目的が一つ、終わってしまいました・・・)

(そうなの? ならもう生きていく気力は無くなってしまうのかしら?)

(・・・)

(あなたの村のこと? 分かったのね・・・でも、それだけで良いのかしら?)

(いえ、まだ、実行犯が分かっただけです。どうやら、この世界にはいろいろ悪い奴らがのうのうと生きているようです・・・・でも・・・・)

(大丈夫よ、あなたなら、やっていけるわ! 私の使い魔は、役にたってるかしら?)

(はい、いろいろ教えてもらってます・・・)

(そうでしょ? あなた一人だけじゃないんだから・・・)

(はい、・・・あの? 氷龍様は、私を見ててくれてるんでしょうか?)

(だって、あなたのそばにはいつもスライムのあの子がいるでしょ?)

(ああ、そういうことですね・・・分かりました・・・)

(何か欲しい能力とははあるのかしら?)

(いえ、ムンク、スライムがいろいろやってくれますから・・・特には・・・)


(そうね・・・あなたの記憶からだと・・・変化とか記憶読み?・・・)



目が覚めた。


あれは夢だったんだよね、でも・・・氷龍様? ありがとうございます。私は・・・大丈夫です、ムンクも居てくれますし。

(なに? あるじ? 呼んだ?)

(ううん、ムンク、これからもよろしく頼むね!)


(あるじ~、何か、スキル増えてるよ?)

えっ? そう?


<状態?>自分 


▶ヨシノ 

・冒険者 D ランク 17歳

・レベル200->300ー>400ー>600

・魔力量350->500ー>600ー>800

・取得スキル:転移※、気配察知、気配遮断※

・取得スキル:鑑定※

・取得魔法:凍殺、気絶、氷針、風刃、催眠、落雷、

・取得魔法:氷霧、記憶読み※


*瞬歩の指輪:追加ー>攻撃無効※(物理・魔法)

*回復の指輪:ヒール、回復、治癒

       追加ー>重圧、浄化、解呪※


簡易鑑定の指輪、これは、ひょっとしてあの魔道具屋のおやじが作ったものっぽいので、普段使いはしないことにした。とりあえず、秘蔵。

胡麻化し用なら他の指輪で十分だから・・・


▶ムンク 氷龍の使い魔、ヨシノの従魔

レベルー> 600ー> 800ー>1200

魔力量ー>1000ー>1200ー>1600


*鑑定、転移、記憶読み が増えたよ・・・


ああ凄いよ! 限定転移が<転移>になってる。

新しいスキルとして、<鑑定>が増えた。鑑定じゃない!

新しい魔法としては、<記憶読み>がある。


これは・・・本物の「鑑定」ってことは、<状態>の上位スキルだよね? 適当な指輪を胡麻化しに使わなきゃ・・・


本物の鑑定や転移って? それを鑑定!してみた・・・


*鑑定:あらゆる対象、事象の説明を得ることができる。

*転移:目視できない場所にも移動できる。ただし安全機能が働いて、壁の中とかには移動できない。

移動時には、自動的に気配遮断、透明化がかかる。

対象物を転移で移動させる「転送!」を使える。転送の場合は、物質の中とかにも転送できるし、物質の中からも指定したものだけを転送で取り出せる。


*記憶読み:相手に触れている間、その記憶を新しいものから探ることができる。


あとは、指輪に追加の魔法が付与されているのだけど、これはこの前、ムンクがやってくれたものだね。

これによって、これらの<瞬歩の指輪>と<回復の指輪>の二つは、私専用の強化魔道具になったらしい。ムンクが教えてくれた。


追加された効果は、攻撃無効、重圧、浄化、解呪。

攻撃無効は、魔法攻撃のみならず、物理的な攻撃をも回避して無効化できる。

あとは、便利そうな魔法で、重圧、対象に対して重力魔法で圧力をかけて押さえつける。

浄化、主に、広範囲の呪いなどを消去する。アンデッドや呪いを含んだ空気、土地、水などに有効。解呪は、特定のものに掛けられた呪いを解除するもの。


鑑定スキル、これって凄い! 氷龍様?・・・ありがとうございます。




今日は、外で食べるのもおっくうだったので、ギルドの食堂で朝食を食べている。

そこへ、ギルマスもやってきて、まあ、合席で食べているんだけど・・・


「昨日な・・、盗賊団の残党が逮捕されたようだ。またまた、指名手配犯がいた。元Bランク冒険者で、どうやら、その盗賊団のサブボスだったらしいよ・・・」

なんて、まあ突然に話してくれるので聞いているのだけど、

「ギルマス? なんで私にそんな話を聞かせるんですか? 極秘なんじゃないの?」

「まあな・・・でもなぁ~ 何故!冒険者の頂点までいった連中が犯罪者になるんだ? 残念でな・・・」

「なんだ? ギルマスは知り合いだったとか?なの?」

「いや、俺からすれば、後輩にあたるな・・・」

「そうか・・・なんだ? 国が乱れているとか、いろいろ、あるんじゃないの?」

「さあな、まあ、わからん・・・すまんなこんな話、忘れてくれ!」

「はい、そうさせてもらいます」




早速、新しいスキルの検証をしておかなければ・・・

<転移>してみよう。折角なので、記憶にある村のあった場所に、一気に移動できるのかな?

これもスキルなので、<地図>との連動ができるみたい。

<地図>で、村のあたりを表示して、転移! ・・・できた!


もう、ただの崩壊し消滅した村だった場所って感じになっている。燃えカスなどは風に飛ばされたようだ。

そこから更に、以前に狩に通っていた東の森に転移! 

ああ、良く水を飲みに立ち寄った場所だよ。先客がいた。ゴブリンが6匹。


まあ、少し待ってみましょ・・・


と思ってたんだけど、後ろから魔物が近づいてくる気配、ピリピリ殺気が伝わってくる。他にもいたんだね、ゴブリン。何よ、静かに立ち去ってはくれないのね・・・


まずは、後ろの連中4匹に、まとめて凍殺! 悪いね!でも、あんたたちが殺気を放ってきたんだからね・・・

そしたら、水を飲んでいた6匹に気づかれた。

まあ、仕方がない。自己防衛だからね・・・凍殺! 

合わせて10匹のゴブリンが横たわっている。


(ムンク? 転送ってスキル? 魔石だけを対象にして転送で取り出せないのかな?)

(うん、そうだね、できるはずだよ? できそう?)


よし、やってみよう。魔石のある場所はだいたいわかるので、そこの身体の中にあるだろう魔石を対象に指定して・・・転送! 私の足元に! <カランコロン・・> 

はははは・・・出来た。不思議だよね。

足元の魔石を鞄に回収しておいた。

一応、魔石を抜き取られたゴブリンの死体を見てみたけど、特に胸のところの皮膚が破れて穴があいているとかの外傷は無い。無傷なんだね。

でも、鑑定では、確かに魔石が存在していない・・・


あれ? それなら、生きたままのゴブリンから、魔石だけを取り出せたりできるのかな? 外傷もなしに・・・

しばらくそこで待っていたら、次のゴブリンが5匹やってきた。

私の存在に気づいて、いきなり石ころをぶつけてきたり、棒切れを手に私に近づいてくる。なんでそうなのかな~


生きているゴブリンたちから、転送!で魔石だけ取り出して私の手の中に回収・・・・出来た!

当然、5匹のゴブリンたちが外傷もなく横たわっている・・・不思議だよね!


森の縁に出て、木々の無い場所があったので、そこに、今しとめたゴブリン15匹と、先日、回収しておいた魔狼の死体を出した。山積みできるほどあった。

転送!が使えるようになって、積み上げるのも苦にならない。


一応、鑑定!でみてみたが、まだ魔石を持っている魔狼がいるので、魔石だけ転送!で回収しておいた。

毛皮は、かなりひどい有様なので、ゴブリンと一緒にここで火葬する。

ムンクに結界で囲んでもらってから、結界の中に火炎を数発打ち込んだ。

こうすると、火力が強くなって、それこそ骨まで綺麗に燃え尽きてしまうのよね、だから後には何かが燃えた地面があるだけ。


すべて焼きつくして落ち着いたところで、燃えた地面に指輪の魔法で、解呪! 浄化! をかけておいた。


*旅立ち


「ギルマス、お世話になりました」

「ああ、出ていくんだな・・・どこへいくんだ? 王都か?」

「特にあては無いんですが、そうですね、王都へ向かってみようと思います」

「そうか・・・まあ、ここからはひたすら西へまっすぐだから、迷うことはないだろうよ・・・馬車なら朝立てば、一泊して明日の夕方には着く。

徒歩なら7日ってところだ。途中、貴族の領があるからな、泊りの場所は困らんだろう・・・」

「そうですか、いろいろ・・・ありがとうございました」

「ああ、もし、王都の冒険者ギルドへ顔を出すなら、俺と懇意にしてたって言ってみろ? お茶くらいなら出てくるかもな?・・・あははは、まあ、また帰って来いよ!」


ギルドの宿舎を引き払って、ここ辺境伯領から旅に出ることにした・・・



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「おかしいですね~ 南の森盗賊団が壊滅状態ですか・・・何がありました?

まあ、こちらまで手が及ぶとは思いませんが、スラムはどうなんでしょう?

しばらく、連絡を絶っておいたほうが良さそうですな・・・」


>>



昨日、市場をぶらついて、例の魔道具屋へ寄ってみたんだけど、留守だった。

丁寧に張り紙がしてあって、「しばらく行商の旅にでます」って書いてあった。

わざわざ、留守を知らせるのか?って思ったが、店にはしっかり結界が張ってあったわね。

金品や商品などはすべて魔法鞄で運べるし、あの魔導士、抜かりないようだ。


(あるじ~ ここの魔導士の気配が西門の方に向かってるよ・・・)

西門か~ スラムにでも用事なの? 

そういえば、警備兵たちはスラムの情報源まで辿りついたんだろうか・・・


気配を消して、スラムの例のボスの屋敷に行ってみたが、ボスの気配が全く無いようだ。

(スラムのボスも姿を消してる・・・でも、魔導士と一緒ではないようだね・・・)

ばらばらに姿をくらましたか・・・


私も西門から領を出た。



王都までの東西街道をただ西へ歩いていると、私の前を転がっていたムンクがいきなり進行方向を変えた。

北へ入る細い道があったのだがそっちに入っていったよ。


(ムンク? そっちに何かあるの?)

(うん? 裏道だよ?)

(ええ、それで? 何があるのさ?)

(・・・)


まあ、ついていくしかなさそうだね・・・







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