第28話 じい様の壺 

盗賊団のボスたちから回収したものを検証している。

ムンクが収納から適当に出してくれてる。


(それと、はいこれ!)

ムンクが次はコレ!ということかな? サブボスのサロモンの指輪を出してくれた。

鑑定! 

*指輪:簡易鑑定


(それをつけてれば、<状態>スキルのごまかしに使えるでしょ?)

そうだね、簡易とは言え<鑑定>なんだしね。簡易ってどの程度なんだろう・・・


ちなみに、手元のサロモンの魔法鞄を簡易鑑定!してみた。

*魔法鞄:容量・小、時間停止


これだけの情報がわかった。中身とか、所有者とかまでは分からない。


魔物除けの腕輪を鑑定!

*腕輪:魔物除け

これだけ・・・


<状態?>でその腕輪を対象にしてみたら、

*腕輪:魔物除け、効果範囲10m、使用制限20回


な〜んだ!  制限があるんだね、20回か!~と思って、まあ腕輪は外したわ。

私は要らないけど、こういうものでも重宝する人は多いだろうし、ちゃんと収納しておいたよ。

商人さんたちなら欲しがるよね? あとその護衛の人たちとかも・・・ 



*盗賊団のアジトへ


さて、そろそろアジトへ行ってみよう。

辺境伯領の警備兵たちが乗り込んでくるかもしれないし。その前に調べたいと思うのは普通だよね?


<地図>表示させてみた。

ちょうど、この給水場から南へ伸びる道路から東へ細い道を入っていった山中のようだ。


<地図>で場所を把握したので、そこへ限定転移!してみたら、・・・出来た!

どうやら、<地図>情報とも連動しているらしい。


いきなり、ぼろ小屋前に到着した。地図で確認してみれば、かなり森の中に入ったところ。

気配察知では人の気配は無し、魔物の気配も無し・・・

小屋の中へ入る。

誰も居ない・・・そうだよね、ボスもサブボスも、全員出払っていったってことだね。

中は、山を掘った洞窟に繋がっていた。部屋がいくつも掘ってあった。

しかし、めぼしいものは何もない。食料置き場に食材が残っているくらいだ。


真っ先に飛び出していたムンクが私のところに戻ってきて、

(あるじ~一番奥の部屋、ボスの部屋のようだけど・・・・)

だけど?なに? 見ろってこと?


うん? 何もないけど?

(あるじ~そこの突き当りのところに手を触れてみれば?)

まあ、言われるままに、突き当りの壁に手を触れてみたら、パリン!って何かが割れた?

(そこに結界が張ってあったんだ。認識阻害結界。あるじの魔力で解除できた)

ああ、そういえば、ボスのスワンドって結界のスキル持ちだったっけ・・・


そこには、小さな横穴がくり抜かれてあって、中には・・・・

小箱、中身はAランク冒険者カード(純金製)と、エトワール金貨が50枚

なんだろう? 記念品? それとも自分の逃避用? 

それと、見覚えのある小ぶりな壺がおいてある。


あっ!これを私は知ってる! 村長のじい様が大切に保管していた壺だよ・・・・


「じじい!」・・・・ やっぱり、盗賊団ってのは・・・こいつらだったんだ!~ 


壺は、簡易鑑定の指輪でも中身が分かった。エトワール金貨50枚、銀貨80枚。

じい様の隠し金だね・・・随分?ため込んでたんだね。


スワンドの小箱とじい様の壺を回収して外へ出てきた。


(あるじ~ どうした? 大丈夫?)

うん? ああ、私は・・・涙が溢れてくる・・・ああ、じじい!~

どうして!? 何で? どうせ死ぬにしたって・・もっと、楽に死ねただろうに!

ううう・・・うう~~ なんか・・・悔しい! 


あの村は・・・盗賊たちの実践訓練の為にこの世から消えたんだ~

みんな殺されて、金目のものを盗まれて・・・終いには火をかけられて葬られた。跡形も無くこの世から消されてしまった。そんな勝手な一方的な理由で!? 

きっと、火炎か何かの魔道具を使われたんだ! ものすごい火炎に村が包まれたことだろうね。そんな・・・何かが残るわけないじゃない! 人骨さえも燃え尽きてしまったんだね。なんてことするのよ! 

そんな連中がのうのうと生きていたの? う・う・う~~~



遠くから馬車の音が聞こえてきた。警備兵たちかな? 素早いね・・・

気配を消して、森の中に潜んだ。


確かに警備兵たちだった。馬車には、辺境伯の家紋が付いている。馬車2台、総勢8人。


私は密かにその場から離れた。



「おお、奴らの自供通りだな。これが東の盗賊団のアジトかぁ~ いままでさんざん手こずらせてもらったものだ。

良いか、徹底的に、ここにある物はすべて没収しろ! 小さなものまで見逃すんじゃないぞ! ((おお!!)) よし、始め!」


離れた場所で地図!で探っていたんだけど、警備兵たちが持ち帰ったものは多かったよ。

魔道具、薬、金貨、銀貨、鋼鉄の剣、槍、ナイフなどなど・・・

とにかくすっからかんに空にしていった。

どうやら、長年に渡って盗賊活動を繰り返してきた盗賊団だったようだね。

それが、今回で一掃された。

空になったこの場所を、他の盗賊団や魔物たちに占拠されて有効活用されるかもしれないよね。

なので、入口だけでも塞いでおいたほうが良いんじゃない?

ムンクにお願いしたら、チョチョイ~って魔法を使ってくれたよ。


警備兵たちは?もう、ここには来ないでしょ?来ても入れないから・・・





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