第26話 盗賊ボス・スワンド
「うん? 敵か?」
(みんな~ 敵襲! 前から盗賊らしいのが多数!)
(後ろからも、人間が多数)
休憩していても、索敵は働かせているんだね・・・
確かに、<地図>では、前から盗賊22人、後ろから12人、そして例のレベルの高いボスと思われる奴は後ろの11人と一緒だ。
前の盗賊団の中から一人一番馬車の前に出てきて、
「あれれ・・・これはこれは・・商人さんたち、魔物にでも遭遇したんですかい? そりゃあ、大変なことで・・・護衛のみなさんもご苦労なことで・・・」
「なんだ、お前たちは!?」
「・・・ははは、見た通りの盗賊、まあ、ここは山の中ですから、山賊?とも言いますか、あははは」
「なんだと!~ ふざけるな!」
「いやいや、出すものを出してくれさえすれば、命までは盗りませんし、無用な戦いもしなくてすみますがね~」
・・・と、三番馬車の後ろからボスが放った落雷魔法が一番馬車のすぐ前に落ちて、<辺境>の三人が感電して膝まづいてしまった・・・息はあるようね。
二番馬車から走ってきた<雷光>のサイラスが、三番馬車、二番馬車そして一番馬車と結界を張り直しながら倒れたナダルたちの元へ寄ってきた。
すぐに、バレンドから回復魔法が放たれているが、感電は、病気や怪我ではないのか効きが悪い・・・
三番の後ろでも・・・
「てめぇ~ 何を勝手に魔法を放ってやがる! おいこら、盗賊!」
「ははは、元気だけはあるようだがな、俺を止められるのか?」
と、一瞬で、<ゴロ>のメンバーが動きを封じられて膝まづいてしまった。
重圧!だね・・・
やはり、あのボスを自由にさせておくのはまずい。
その間にも、盗賊たちが、どんどん馬車にまとわりついて、荷台やドアーを開けようとしている。幸い、サイラスの結界でなんとか保っている。
そこへ、ボスがゆっくり歩いてきて、三番馬車に触れた。
結界が解除されてしまったようだ。
駄目だ! 依頼主の商人が危ない!・・・
途端に魔法を発動していた。何でも良かったけど、・・・
一面、馬車のあたりを覆うように谷底が冷たい霧で覆われた。
(ははは、あるじ~ 凄いね! 氷霧までできちゃったね~ ついでに、全員眠らせれば!?)
*氷霧
全体を範囲指定して、催眠!
ただし、一人だけ、効きが悪い、あのボスだね。
二番馬車に手を触れたことろだったが、そこで、跪いている。他の盗賊たちはすでに地面に倒れて、居眠りしているんだけどね。凍死しても知らないよ?
「ううう~~、誰かいるのか? 誰だ! ううう~~ この俺が!・・・」
ははは、苦しいでしょ? 自分が常に一番上だ!なんて思わないほうが良いよ~ 殺しはしないから・・・もう少し苦しみなさいな!
ボスに、重圧! さらに気絶!を重ねて浴びせた。
いけない・・・やりすぎた? 口から泡を吹いているね。・・・でも、大丈夫、息はしてるわ・・・
とりあえず、ボスの武装解除をしておこう。魔剣、指輪、魔物除けの腕輪、それに鞄を回収しておいた。
▶スワンド
・南の森の盗賊団ボス
・レベル300
*指輪:瞬歩、重圧
*腕輪:魔物除け
*魔剣:ミスリル製(風魔法強化、風刃、風槍、風弾)
*魔法鞄:容量・大、時間停止
ボスのスワンドの重圧魔法は指輪魔道具のものだったよ。
魔剣の威力はもう知ってる。あとは良い魔法鞄を持っているね。
さて、この盗賊連中をどうしよう?
このままここにおいておく?
どこかへまとめて捨てる?
怪我してる盗賊が3人いる。それ以外の眠ってる者全員を鞄に収納した。
怪我の3人を別収納して、ゴロのところに出しておいた。
先にゴロたちの催眠を解除してから、その場から離れた・・・
もう襲撃は無いよね。
特にアテは無いけど・・・瞬歩でパルト伯爵領を過ぎて、辺境伯領へ通じる南北道路に出て、そこから一気に、ボランド辺境伯領まで限定転移!して、南門近くの森まで移動した。
南門から離れたところに、落雷!を3発と、氷霧を出して、その中に、収納してきた盗賊たちを出しておいた。その場から離れて、更に落雷を2発。
森の中の木の上で様子を見ていたら、門から警備兵が4人、走って寄ってくる。
氷霧の中に飛び込んでいったが、一人出て来て南門まで、走って帰っていったよ。
今度は、荷馬車を2台用意してまた氷霧の場所へ向かってる。
どうやら、捕縛してくれるみたい・・・
ムンクがボスのスワンドの記憶を覗いてくれたようだ・・・
南の森のアジトの場所がわかった。
辺境伯領の魔道具屋とスラムとの繋がりがある。
魔道具屋は、不確かだが、王都の盗賊とつながりがあるみたい。
盗賊団で収穫したものは、とりあえず鞄に全部保存したままにしてある。
定期的に、その魔法鞄ごと魔道具屋に渡して、向こうの鞄に詰め替えて、そこから報酬を得る。
盗賊団員に欠員が出た場合などは、スラムから補充する。
新人の訓練は、魔物との対戦は南の森で、また対人戦は辺境のつぶれそうな村などで実践訓練をすることもある。
うん? 何だって!? 最後が気になった。
まさか? 私の村も奴らの訓練対象になったの?
馬車を襲った連中は全員警備兵のところに送ってやったけど、アジトか・・・
残っているんだろうね、盗賊団員たち。
ボスもいなくなった盗賊団、きれいにしておきましょう・・・
*
「うぐぐぐ~~ 寒い! なんなんだ?この冷たい霧は?」
「ゴロ! しっかりして、目の前を見なさい、こいつら盗賊たちよね、怪我して倒れてるけど」
「ああ、そうだな・・・他の連中はどこへ行った? こいつらを置き去りにして逃げたのか?」
「まあ、良いでしょう、とりあえずこの3人を縛り上げておきましょう、次の貴族領で引き渡せば良いでしょう・・・」
「ジロ、任せても良いか? 俺は前の連中を見てくる」
「ああ、こちらはやっておきましょう。何かあれば叫んでくれれば・・・」
*
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます