第24話 魔狼の呪い毒 

幸い、各パーティの魔法士のヒール、治癒魔法の効果も現れて、擦り傷、打ち身、捻挫などは改善されたようだ。特に、バレンドの回復が良く効いたようだね。

でも、魔狼に噛まれた傷の治りが・・・悪い。

(あれは、魔狼の涎に含まれる(呪い毒)が回ってるよ・・・だから、治りが遅い)

(呪い毒? なら、解呪か!)

(そうそう、だけど、あの中には解呪や聖魔法を使える者はいないから・・・これからの行程、動きが心配だよね・・・)


ちなみに、魔狼に噛まれて、呪い毒に犯されている者たちは・・・


<辺境>のニゲル

<雷光>のダンドル

<人助>のゴロ、ミヤ 



そのあとは無事にエドガー男爵領に入っていったよ・・・

商人さんたちは、まあ、通常モードで取引をはじめた。

冒険者たちは、まずは休憩と汚れ落としだろうね。

幸い、時間も早いので、「次のエスカ領地には夕方までに入れれば良いので、午後、昼食後に出発する」という予定の変更を告げられたようだ。少し時間ができたね。


領内の簡易宿泊所みたいなところで、それぞれみんな寝転がってしまった。

まだ、二日目だよ? 相当疲れてきてる。

中には、座ったまま船を漕ぎ始めた者もいる。


気配を消して、それぞれの部屋の外から、軽く催眠!をかけて、解呪!回復! 浄化!とクリーン!をかけてあげた。



「うう~~ん・・・寝ちゃったわね・・・ あれ? 傷が治ってる! さすがね、バレンドさん、回復士なだけあるわ。効いたのね・・・あれ? でも、この魔力の気配・・・何か記憶にあるかな? まあ、良いわ! なんか、いつもより元気が出てるし!~」


「おおお~~、さすがだ、バレンド! お前の回復が効いたようだ。噛まれたところ、もうなんとも無いぞ~ ありがとうな!」

「ああ、そう?」

「そうそう、そら見てみなよ! 綺麗なもんだぜ!」

「ああ、・・・・良かったね・・・???・・」

「おう! ありがとうな!」



「ニゲル? 大丈夫? 私たち眠ってしまったようね・・・ 噛まれたところ、平気?」

「ああ、エレン、悪い・・・でもさあ・・・起きたら、怪我が綺麗に治ってるし、

なんか・・・気分も良いんだよ!」

「そう! よかったわ! まだまだ先は長いからね・・・}

「ははは、任せろ! これもあれか? バレンドさんの回復が効いたってことだろ? すげえな・・・最初は効きが悪くて、俺も心配してたんだが・・・」

「そうね、良かったわね!」


*怪我回復、呪いは解呪する 



>>


「おお・・・これは酷い有様だな・・・この血は魔狼たちの物か、抜けた毛もあるし。護衛の連中はなんとか斬り抜けたようだが、まあ、やつらも無事では済んでないだろう・・・

魔物寄せの魔石か・・・たいした威力だぜ。

それにしても、死体が一つも転がってない、奴ら、全部回収していったのか・・・ご苦労なことだ。

<魔物寄せ>で集めた魔狼の涎の呪いは強化されるって話だったし、まあ、何人かは呪われて、傷はなかなか完治しないと言っていたよな・・・

ははは・・・さて、どこまで進めるのかな? 

俺たちの最終決戦は・・・イスト伯爵領の手前か・・・・そして、最後の詰め

としてポーラー伯爵邸を出た後の街道にも準備はしてある。まあ、奴らが生きていればの話だが・・・」



>>



取引と昼休憩も終わって、みんなが続々とエドガー男爵領の出口門に集合している。


「ああ・・・冒険者のみなさん、思ったよりは元気そうで安心しました」

「ご心配をお掛けしましたか・・すみません。俺ら、もう大丈夫です。気力も体力も戻っております故、確実に護衛の任務をはたしましょう!」

「そうですね・・・良かったです。では、出発ということで、良いのですな!」

「ああ、大丈夫だ」

「それにしても、今回は何故か、盗賊や魔物が多いように思いますが・・・」

「そうですな・・・まあ、商品とあなた方の命は絶対にお守りしますよ!」

「ええ、お願いしますよ。では、出発しましょう・・次は、ここから山間部を南に進んだ、エスカ男爵領です」



良かったよ、冒険者たちにはみんな元気が戻っている。

おや、誰かが走って寄ってくるよ・・・


「みんな~お待たせ~」

「おやおや、ナダルさん? お怪我は? もう大丈夫なんですか?」

「それがさ~・・・なんか、少し眠っていたら、全快!していた。きっと、バレンドさんの回復魔法が効いてきたんだな・・・ありがとう。もう、この通りだ、俺も、護衛に参加させてもらっても良いか?」

「ナダル? 無理してない?」

「ああ、エレン、それがさ~ すっかり傷も治ってるんだよ・・・見るか?」

「いやいや、見ないけどさ~ 良かったじゃん!」


「じゃあ、最初の護衛体制に戻しましょう。<人助>のみなさんはまた三番馬車と後方警戒をお願いします。<辺境>の皆さんは一番馬車と前方の警戒をお願いしますよ・・・」



かなり深い谷間の山間を進むが、幸いこの区間での襲撃は無かった。

全員揃って、エスカ領の西門から入っていったよ。


「おお~、無事にエスカ領に到着出来たぞ!」

「みなさん、本日の護衛は楽勝でしたね・・・ははは、また明日からよろしくお願いしますよ。明日からは伯爵領を回ります。

では、朝、6:00に南側の門のところにお願いしますよ」



あれ? おかしいなぁ~ 回復魔法の手ごたえがなかったんだけど・・・何故?みんなの怪我が治っているんだ? しかもあれ、ナダル君の腕はもう諦めなければ、と思っていたのに、完治してるだって? そんなはずはない!

でも、傷口を見せてもらったけど、・・・綺麗な物だった。

僕の回復魔法ってそんなに効果があったのか? 不思議だなぁ~

あれ、きっと、魔狼の呪い毒のセイだと思うんだよな、回復魔法の効きが悪いのは。でも、それなのに、僕の普通の回復魔法で治ってしまったのか? う~ん・・・不思議だ・・・

でも、まあ、みんな元気になってくれて良かったけど・・・





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る