第23話 商隊2日目・魔狼襲来
どうやら、昨日は、カロン男爵領で商人さんたちが取引を行ったあと、そのまま一泊したようだね。重症のナダルさんは男爵屋敷の離れの部屋で眠っている。
バレンド回復士に出来るだけのことをしてもらったようだけど、まあ、前線復帰は無理だよね。
(あれ、どうやら、斬ると同時に何かの呪い毒がかかっているよ?)
そうなんだ~ だから治りが悪いとかなのかな・・・
毒? 呪い? なら、解呪すれば良いの?
こういうときにも、解呪って使えるのかな? 少しやってみよう。
気配を消したままナダルさんの眠る離れの部屋へ行って、解呪!をかけて、更に回復! 治癒!クリーン! を続けてかけておいてあげた。
*
「護衛体制だが、今日は<人助>と<辺境>を入れ替える。<人助>のミヤさんに前方と横の索敵を任せる。ナダルがああなってしまったからには、ミヤさんが頼りだ・・・」
「分かりました」
「<辺境>のエレンとニゲルは、二人だが、後方を注意しててくれ」
「「了解です」」
へぇ~ 今日は、ゴロたちが第一馬車の護衛に就いたんだね。
結局、第一馬車は、少し傷が付いてしまっているが、走行には問題ないので、そのまま使うみたいだよ。
まあ、荷物の入れ替えなども大変そうだし・・・
でも、そのセイで、あの<魔物寄せの魔石>はそのまま荷台に乗っていることになってしまったよ・・・荷物の確認をすれば分かったんじゃないの?
ムンクに聞いたら、あの魔物寄せの効果は、遅延発動になっているらしく、今日あたりから効果が出てくるんじゃないか?って言っていた・・・
突然、ミヤからの念話連絡が・・・
(サイラスさん! 魔物の気配です、多いです。魔狼の群れです・・・
既に周りを囲まれています。前から6頭、横から15頭、後ろから6頭です)
(なんだと~、朝一番でこれかぁ~・・・みんな、聞いたな、抜かるなよ。一応、3台の馬車には、俺が結界を張っておくから、存分に働け!~)
((了解!))
「おいおい・・・朝からこいつら・・どうなってるんだ~ どこに潜んでいたんだよ。ミヤ、敵の気配は探っていたんだろうな!?」
「ええ、ちゃんとやってたわよ・・でも、突然! 現れたんだ・・・」
「ああ、まあ良い、やることは一つだ! みんな~ 手を抜くなよ!」
「これはこれは・・・この数が一気に来ましたか・・・どうなっているのですかね~」
「まあ、前は良いか・・」
ちょっと、後ろを見てくるか・・・
「エレン! 後ろはお前たち二人では危険だ。馬車には結界を張ってあるから、二人とも、こちらに来い。俺たちに合流しろ!」
「「はい!」」
「ローランさん、馬車には結界を張ってある、少し馬車の中でじっとしててくれ!」
「はい、わかりましたよ、お願いしますよ・・・」
おや、後ろの二人は二番馬車に合流ですね・・・後ろがガラ空きですが、あの結界でどれくらいもつのかな?
(そうだね、少しくらいなら持つんじゃないか?)
(そうなの? なら、今のうちに行って、魔物寄せの魔石を一個でも回収しようか?)
まあ、言い終わる前に、姿を消したムンクが三番馬車の後ろの荷台に飛び込んでいったよ。
(あるじ~見つけた。これ回収しておくよ!)
(ああ、ムンク、ありがとう、よろしくね!)
あれ? ムンクには影響はないのかな?
(ムンク? それ、ムンクには影響は無いの?)
(ははは、全然、なんともないよ!? 僕はあるじの従魔だからね!)
何か、訳わかんないこと言ってるけど、問題ないみたい。
これで、一個は回収できたね・・・
さて、魔狼たちに対しては・・・まあ、みんな、ここぞとばかりに張り切って、スザスザ・・斬り捨てている。悲惨だね、血だらけだよ・・・
<人助>のところも、ネネの魔法攻撃に合わせるように、ゴロ、ジロの二人の剣が魔狼たちを弾き飛ばすように斬っている。もう、返り血で大変なことになってるよ。
二番馬車のところも同じような状況だし・・・・
後ろにいた魔狼たちもここに集まってきてはいるが、それ以上に対する戦力が強力だよ、さすがにBランクパーティってことか~。
それでも、一時間近くかかって、ようやく魔狼の脅威が去った。集まってきてた魔狼は殲滅されたよ。
だけど・・・対処した冒険者たちにも、数人が、噛まれたり、体当たりされてこけて足をくじいたり、岩にぶつけられて打撲症の者、魔力枯渇気味な者など、タダでは済まなかったようだ。
幸い、次のエドガー男爵領の入口が近い。
どうやら、そこまで、そのまま進むようだ。
しかし、これでは、時間がかかって最後まで進めるの? 予定日数では回れないだろうね。
魔狼たちの死体が放置されたままだよ。これでは更に魔物を集めてしまうよね・・・
とりあえず、毛皮は・・・まあ無理っぽい、ぐちゃぐちゃだ。
(ムンク? 魔石だけでも回収できる? あと、これ、このままじゃあまずいよね?)
(じゃあさ、僕が魔石だけ回収しとくから、残りをあるじの鞄に収納しておけば? それで、あとで、どこかで、捨てればいいじゃん?)
なによ~ 魔石を処理してくれるなら、死体の処理もしてくれれば良いのに~
まあ、ムンクの魔石回収は・・・すぐに終わったみたいなので、死体を回収してまわる。
こんなの鞄に入れても良いの?
(ははは、大丈夫だよ、鞄のなかでは時間が止まってるし、常に清浄が効いているよ・・・きっと?・・・)
*魔狼の死体 27体を収納
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