第22話 商隊1日目 

「おい新入り! カビラだったな、お前の役割はこの<石ころ>を、馬車の後ろの荷物置き場に忍び込ませることだ。良いか、これがこの作戦の要だ、しくじりは許されない。お前は、攻撃に参加する必要はない。ただ、これを馬車の荷台に落ちないように置くことだけを確実に実行しろ。良いか! 3個とも終わったら、前にいる俺の近くまで走ってきて知らせろ!」


「ああ、分かった・・・この綺麗な石ころを荷台に密かに置いてボスの近くまで走れば良いんだな!?」

「そうだ、頼んだぞ!」



前から攻めてきた5人の中に一人強いのがいるわね。

<状態?・能力>

▶スワンド 南の森盗賊団のボス

・レベル300

・元、Aランク冒険者

・スキル 結界(防御結界、結界解除)、剣術、

・魔法:火炎、火弾、落雷 

*魔道具:指輪(瞬歩)、指輪(重圧)

*魔剣:ミスリル製、風魔法強化(風刃、風弾、風槍)



一番馬車の前方で、ナダルとニゲルの二人の剣士が前から攻めてきた5人の相手をしている。盗賊たちの方も身体の大きいボスが剣を抜いている。ボスも先頭で動くんだね。

ボスの剣は魔剣だよ。それから風刃の斬撃が二人の剣士にバシバシ襲い掛かってる。でも、あれ、わざと斬撃をそらしてるよね?

あの腕なら、やろうと思えば二人の剣士なんて簡単に始末出来そう・・・

何だろうね?


魔法士のエレンは、二号車の<雷光>に混ざって、両横の連中に対処している。

既に、二号馬車には、サイラスから結界が張られていて、馬車を放置した状態で敵対している。

あれ? 他の馬車には結界を張らなくても良いの?

余裕が無いわけじゃないわよね・・・


三号車の<ゴロ>のところでも戦闘が始まっている。ゴロとジロは両横の奴らに関わっているので、真後ろの3人には、ネネとミヤが相手をしている。

ゴロとジロはほとんど二号馬車の応援に回ってる?

後ろ、ネネとミヤで大丈夫なの?



・・・と、一番馬車の方から悲鳴が聞こえてきた。

「おおお~~リーダー! 大丈夫か!~ みんな~ナダルが斬られた!~」


両横の連中も、後ろの連中も、そんな叫び声に全員が前に気を取られていたその一瞬のスキを待っていたように、新人盗賊カビラの仕事が着実に実行されていたよ・・・


・・・と、前方のナダルを斬った強い奴が魔法を使ったよ。空から落雷を一発、一番馬車に打ち込んだ。

まさに、それが合図だったかのように、盗賊たちが全員、散らばって引いていったのだった・・・


残されたものは、腕を斬られてうずくまるナダル、落雷で少し燃えた一番馬車、そして人知れず馬車の荷台に忍びこまされた<魔物寄せの魔石>3個・・・



ナダルの腕は斬り落とされてはいないが、傷が深くかなり酷い。

<雷光>の回復士のバレンドが必死に回復をかけているが、効き目が薄い・・・

まあこれで、ナダルは戦線から離脱だね・・・


二番馬車の<雷光>のリーダーで、この商隊の護衛の実質的なリーダーでもあるサイラスの指示が飛ぶ・・・

「とりあえず、第一目的のカロン男爵領へ急ぐ。ナダルはそこで護衛から外す・・・少し急ぐぞ!~」


まあ、カロン男爵領の門が近くにあるから、そこまでは大丈夫だろう・・・



盗賊団の攻め方を見せてもらったけど、なかなか訓練されてる。あのボスの指揮、命令がしっかりしているようだね。

レベル300かぁ~ 私と同じくらいか・・・でも、経験の差で向こうの方が上ですよね・・・

しかも、今、ほとんど魔法やスキルは使っていなかった。ただ、風の魔剣を使ってそれに落雷を一発だけだよ。なんて奴が盗賊なんてやってるんですか!~



一番馬車は少し落雷で破損して燃えたところもあるが、まあ運行には支障はなさそうね。どこかで新しく馬車を調達しても良いし、このままでも良いみたいだし。


(ムンク? 今の見てたよね? 彼らは大丈夫なのかな?~)

(ああ、少しヤバいかもね・・・・あの向こうのリーダーは強いよ、でも、ヨシノならなんとかなるだろうけどね・・・でも、そうだなぁ~ あるじに少し力を追加しておこうか・・・・ちょっと、回復の指輪を貸してよ・・・)

いわれるままに、回復の指輪を外してムンクに渡した。


今、私たちは、商隊が入っていったカロン男爵領の入口近くの森の中にいる。男爵領は、さすがにこんな山岳地帯の中にある領だからか、魔物対策用にりっぱな石積みの壁で囲われている。出入口も2か所しかない。このあたりの領地は私兵をかなり雇っているようだよ? 門の近くに領兵たちの為の大きな宿舎まで設置されている。


(はい、できたよ! 追加しておいたのは・・・自分で確認してよね!)


<状態?>指輪

▶回復の指輪

*回復魔法:回復、治癒、ヒール

*浄化、解呪※

*重圧※


重圧は、ああ、さっきのリーダーも持っていたやつだ。

重力魔法で、相手に重力を課すもの、かなり相手の動きを無効化できる、レベルの高いものが魔力強めで使えば、それだけで相手を死に至らすことも可能。

浄化は、不死者の魂を浄化してやることが出来る。

解呪は、主に呪いを解除できる。


(ねえ、ムンク、アイツも同じ重圧をもってたけど、あいつのと同じなの?)

(まあ、同じだけど? こういうスキルや魔法はね・・・)

どうやら、個々人のレベルや経験により、発動したときの効果に影響があるらしいよ。

同じ魔法でも、レベルの高い者が使う場合には、レベルの低い者が使うよりも、強力で効果が大きい・・・と。


あれ? 私は・・・? <状態?>自分 


▶ヨシノ 

・冒険者 D ランク 17歳

・レベル200->300ー>400※

・魔力量350->500ー>600※

・取得スキル:限定転移、気配察知、気配遮断※

・取得魔法:凍殺、気絶、氷針、風刃、催眠、落雷、


*瞬歩の指輪:追加ー>攻撃無効※(物理・魔法)

*回復の指輪:ヒール、回復、治癒

       追加ー>重圧、浄化、解呪※


▶ムンク 氷龍の使い魔、ヨシノの従魔

レベルー>600ー>800

魔力量ー>1000ー>1200


また、レベルが上がってる・・・レベルアップ+補正の加護のお陰だね。






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