第4話 オーク
森の中、さらに川沿いに進む。
特に山を登ってるという感じではないから、水源に向かって登っているわけではないみたい。
まあ、私ではわからないから、ムンクに付いていくしかないよね。
遭遇! また魔物だよ・・・・
<状態!>
*オーク レベル130
・肉は食用、皮や牙なども素材となる
ああ、あれが話に聞いていたオークなんだね。肉は知ってる、食べたことがあるから。でも、大きな魔物だよ?
そうかぁ~ 狩猟班は、こういうのと戦っていたんだ~
そうそう、<状態>が勝手に表示されるのは、初めて遭遇する場合や、前回とレベルや能力が変化した場合に自動表示されるということが分かった。
そういえば、さっきのゴブリンの時は何も表示されなかった・・
ムンクがそう言うんだから、きっと、そういうことなんだ。
何でも、ムンクは、スキルとして「鑑定」と言うのを持っているらしくて、いろいろなことが分かるんだって。だから、ムンクがどんどん進んでいるのも、どうやら、私にとって一番良い方法で森を抜けるように進んでいる、って言ってた。
それに私の<状態?>ってどうやらムンクのその鑑定とリンクしているみたいだって・・・
それで、肝心のオークなんだけど、2頭、背が高いおデブちゃんだよ、怖い豚顔の・・・
私はムンクに言われた通りに、おとなしくしてオークたちから離れてはいるけど、しっかり見える場所に陣取っている。
ムンクが、近くに寄っていって・・・
何か小さな針のようなものを2発飛ばした、と思ったら、オークたちの眉間に小さな穴が開いている。オークたちはまだ立ったままで・・・だけど、既に死んでいるようだよ。
何よ、恐ろしい魔法だね・・・
オークなんかより、このスライムのほうが強い! でもこれは私にも分かるよ、このスライムのムンクが特別なんだって・・・
(あるじ~今のは、氷針っていう氷雪魔法で、氷の針だよ、それをアイツらの眉間に打ち込んでやった、眉間から脳を突き刺して抜けていくんだよ)
うん? 氷雪魔法? 確か私も使える魔法だよね・・・
さっきの風刃よりは私向きかもしれない。
風刃で首ちょんぱで胴体から血が噴き出すというのよりは、よほど見ていられるし。
別に、目を背けてしまって見てられないということではなくてさ、何となく、ああいうのは気持ちが悪いからだよ・・・
まあ、それはおいておいて、既にムンクは、オーク2頭をまるまる体内に収納してしまった。
そうだよね、あれは、体内の異空間収納に入れてるので、決して、体内にそのまま取り込んでいるわけではないからね、でも、不思議だよ。収納スキルって凄いな・・・
ムンクに、今の氷針をもっとよく見たいって言ってみたら、
(良いよ、良く見ててね)
と、その辺の適当な岩に向けて、何発か打ち込んでくれた。的になった岩は、粉々に砕けてしまってる。
ただの氷の針だよ? 凄い威力だね・・・
何となく、氷針の感じとか分かったし、発動の仕方もなんとなくわかった・・・かな?
ムンクに見ててもらって、私もやってみることにした。
魔力を練り込んで、手の先に集めて、氷の針を作って手の先から的へ飛ばす・・・
岩を砕くまでにはいかなかったけど、できた! 私の放った氷針は岩に刺さったままになってる。
(あるじ~凄い! 覚えたの? 凄い!)
(ええ、何となく、ムンクのを見てたら感覚が分かったように思えたから、やってみたんだよ)
(凄い、出来てる! じゃあ、今度からは、あるじに止め《とどめ》をお願いしようかぁ~)
でもまだ、ムンクの氷針よりは太いんだよね、もっと、細くしてかつ威力を上げたい。
連続して30回くらいやっていたら、ムンクくらいの細さと威力を出せたみたい。でも、頭がフラフラして目が回る、気持ち悪くなってきた・・・
何かが私の顔の上ではねている、ひんやりして気持ちが良い。
(あるじ~ 大丈夫?)
(ああ、ムンク・・・ありがとう。私は?意識を失っていたの?~)
(あるじは、急に魔力を使ったから、その反動がきたんだよ、でも、それ普通だから、どんどん魔法を使って、慣れれば、そういうこともなくなってくるから・・・)
なるほどね、まあ、そういうことなんだね。
それで、今はもう、元気一杯な感じなんだけど?
どうやらムンクが私に、回復魔法を使ってくれたらしい。凄いな私のスライムは・・・
(ムンク、ありがとう!)
ピカピカ光ってるよ、あれは、喜んでいるんだよね? こういう時は話してくれないし・・・
(ムンク? オークは全部収納したんだね)
(そうだよ、こいつらは、肉も皮も全部使える素材だからね、それに、僕の収納の中で、解体まで出来ちゃうしね。だから、魔石だけとか、肉だけとか、皮だけとか、指定して出せるよ。とりあえず、1頭を解体にまわしておいたよ)
ははは、もう笑っちゃうね・・・凄いな「収納」スキル。
何でも、それは<収納解体>って言うらしい。
だから、そのまま収納しておいて、必要なら中で解体しておけばいいらしい。
(どうせ、今夜は野宿だから、ヨシノも食べるでしょ?)
ということでやってくれたようだ。ありがたい!
そういえば、そうだね、今夜はこの森で野宿か~ 大丈夫なの?
(平気だよ? 僕が見てて守ってあげるから、あるじは寝てても・・・)
ということで、とりあえず、今夜の野宿の場所を探す。と言っても既にムンクが見つけてくれてたらしくて、そこへ案内してくれた。
魔物が襲ってきても分かりやすいところで、かつ雨風もしのげる場所、森の中に小さな洞穴があったんだよ!
先住者はいないようだし、他の魔物の気配も残っていなかったから、空き洞窟なんだね。
ムンクはこういうの良く分かったね・・・
(夜は、この洞窟に防御結界を張っておくから、まず安全だよ!)って言われた。
もう・・・ムンク様様!だね。
(とりあえず、結界を張っておくから主はここで少し待っててくれる?)
って、ムンクが飛び出していった。
まあ、心細かったけど、安全な場所ということで、私だっていろいろ魔法の復習をしている。
ムンクに見せてもらった魔法。風刃と氷針。
氷針はなんとかできるようになった。風刃はまあ、使い方次第だろうけど、あまり良い気持ちではないけど、覚えておいて損はないよね。
ムンクのやっていたことを思い出す・・・
同じように魔力を高めて練り込んで手の先に集めて、風魔法、風の刃を作って・・・今は飛ばさない。
なんとか、薄く透けてるもの、私の手には風で出来た刃が現れている。できたのかな? 今度、外でやってみよ!
氷雪魔法の詳細を見てる。良いのを見つけた。
<凍殺>:相手の脳を凍結させて死に至らす。
<気絶>:相手を殺さないで、気を失わせる。
だいたいのイメージはつかめるけど、今度ムンクにお願いして見せてもらおう、その方が早い。
ムンクが戻ってきて、私の前にいろいろ収納してきたものを出してくれた。
薪、火おこし用の細い枝、乾燥した草、それと、これは果物かな?食べたことはないけど、ムンクが持ってきたんだから、私にも食べれるってことでしょ?
洞窟の外で火を起こす。生活魔法の火魔法だね。コツはつかんだので、さっそく指先から小さな火を出して枯草に移した。あとは、細い枝に火を移して組み上げた薪に火を移せば良い・・・
薪はムンクがたくさん集めてくれたから、火を絶やさないようにしなければ・・・
合わせて、ムンクが出してくれたオーク肉を、ナイフで小さく切って、あれ? どうやって焼けばいいの?
細い枝に串刺しにして、火の近くであぶり焼きすればよさそう・・・時間はかかるけど、これでいきましょう・・・
果物は、しゃりしゃりして甘くておいしかった。
<状態>が出てた・・・
*リンゴ 食用果実 寒冷地に多い
肉だけだと、口の中がベトベトになるけど、これ、このリンゴは良かった。
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