第2話 氷龍の加護 

「ねえ、あなた?(ヨシノです)、そう? ヨシノ、あなたの村って、ここから西にある?」

「ええ、そうです、あのあたりにはその村しかありませんし」

「そう・・・あの村ね・・・・」


どうやら、二日前の早朝、村に盗賊団が乗り込んできて、食料やら、お金などを村の中から持ち出して、村人は全員殺害されて、さらに立ち去るときに、村に火を放っていったらしい・・・

何ということが起きていたのよ!~ 村長や、女将さんたちも? 

<ううう~~>・・・


「氷龍様? せっかく私を生まれ変わらせていただいたのに、私の生きる意味が無くなってしまいました・・・ 私は・・・どうすれば・・・」

「まあ、あなたの記憶を少し探ってみましたが、もう今までの事は忘れてしまいなさいな? いろいろ辛かったでしょう・・・ どうせなら新しい道を歩くのも一つよね?」

「ううう・・・」


「あのね、私から、あなたへの謝罪の意味もあるけど、生きていける力を少しだけあげるわよ? どう? 頑張って生きてみない? 守りたい人を護ったり、危険な魔物や盗賊たちをやっつけたり出来るよ? そうして自分の好きなように生きていっても良いんじゃない?」


うん? それもそうか・・・私はこれで、本当に身寄りも無くなったし、そんな悪い連中をやっつける事ができれば・・・もし、そんな中で私が死んでも・・・悔いはないわね!

せっかくの氷龍様のご厚意を無駄にすることも無い・・・・


「分かりました、氷龍様、私に生きていく力を頂けるのですか?」

「そうよ、今、言ったでしょ? 本当に頑張れる? 私から与えることが出来る力だけど、そんなとんでもないものじゃないよ? でも、それなりに使えると思うんだけどね・・・」

「はい、決めました。私は、生きて、頑張って人助けをしていきたいです!」

「ふふふ・・・・」


私のところに、氷の玉が転がってきた。

「それを貴方に与えましょう!」

手に取ってみたら、そのまま溶けて・・・何かが私の身体の中に入ってきたのがわかる。


と、頭の中にたくさんの情報が現れてきた。紙なんて無いのにソコにいろいろ書いてある。

でも、私は、読み書きなんて教わっていないし・・・・でも、読めた!


▶ヨシノ 村人 人間 女 

・レベル 100

・魔力量 200

・氷龍の加護

   状態異常無効、氷雪魔法スキル、レベルアップ上昇補正、

   言語理解、念話 

・竜皮肉製の身体(防御効果大、清浄、身体強化)


ひょっとして、これは私の能力一覧?


「ふふふ、見えたようね、それはね、あなたの現在の能力の<状態>を見せてくれるもの、それを出して見ていても、他の誰からも見られないわよ。それを見たいときには、<状態?>って思えば良いから」

「・・・」

「その中で、詳しく知りたいものは、その言葉を知りたい、って思えば説明がでることでしょう」

「あの~魔力量200ってありますが、私は魔法を使えるのでしょうか?」

「はい、使えますよ、普通の生活魔法と、私の氷雪魔法ね」

「それと、レベル100ってのは?」

「それは、魔物や人間、すべてが持っている能力の総合値ね、一般人で30~80、ゴブリン・キングあたりで、150ってところね。冒険者の上級で100~150ってところかしら・・・詳しくは自分で判断してね・・」

「・・・」

「とりあえず、魔法を使ったり、身体を動かしたり、魔物を狩ったり頑張れば、あなたのレベルも上がってくるから、そうすれば、もっといろいろ出来るようになるわよ。でも、そうね、それまでは少し心もとないから・・・この子を連れていきなさいな」


私の組んだ腕の中に、小さな白色のスライムが現れた。

これ、スライムだよ? 真っ白で可愛い! 


なんと、私の目の前に、スライムの<状態>が勝手に現れた。


*スライム 名前未登録

・氷龍の加護

・氷龍の使い魔(白色スライム)

・ヨシノの従魔  

・スキル:暴食、収納、鑑定 

:魔法:氷雪魔法


「あの~この子には名前を付けてあげるのでしょうか?」

「そうね、そのほうがよりあなたとの結びつきが強まるわね」


スライムは、私の腕の中で、逃げるでもなく、プルプル動いている。なんかこれ可愛い・・・

そうか・・・名前かぁ~

「スライムさん、あなたに名前を付けます。嫌ならそこから離れてください」

そのままの場所にいる。私の言葉がわかったかどうかは知らないけど・・・

「あなたの名前は、ムンク です」


なんか真っ白なんだけど、きらきら光を纏って輝いている綺麗なスライムだよ。

雪の塊みたいだけど、雪や氷の感触ではないし冷たすぎることもない。

しかも、白色半透明な身体の中に、2個の目のようなものがある。なんか可愛い!


突然、スライムのプルプルの動きが活発になってきて、あれ? 光ってる! 

落ちつたようだよ、そしてまた<状態>が表示された。


▶スライム 名前:ムンク 

・氷龍の使い魔 白色スライム 魔核2個 

・氷龍の加護 

・ヨシノの従魔(スキル・魔法共有)※ 

・レベル200、魔力量300 

・スキル:暴食、転移、収納、鑑定、言語理解、念話 

・魔法:氷雪魔法、生活魔法


同時に私の<状態>にも、一部追加項目が現れた。


▶ヨシノ 村人 人間 女 

・レベル 150

・魔力量 250

・氷龍の加護

(状態異常無効、氷雪魔法スキル、レベルアップ上昇補正、言語理解、念話)

・竜革肉製の身体

(防御効果大、清浄、身体強化)

・スキル:従魔契約(スキル・魔法共有)※ 

・従魔契約:ムンク(白色スライム)※

・魔法:生活魔法、氷雪魔法 ※ 


あれ? ムンクの方がレベル高いよ? 良いの? 私の従魔で・・・

あとは、どうやら、ムンクのスキルや魔法を私は使えるらしい。がしかし、それには私のレベルアップが必要なんだって・・・(従魔スキル等共有)



「あの~氷龍様、いろいろ私に与えてくれて、ありがとうございます・・・」

「ふふふ、良いのよ別に・・・でも、これだけは覚えておきなさい」

と、言われたことは・・・


私がこの力を、悪い事に使ったならば、必ず氷龍様のお仕置きがある。


(あるじ~、お話済んだ?~)

うん? 誰? ムンクが光ってピョンピョン弾んでいる。

「ひょっとしてムンク、あなた?」

(そうそう、僕、ムンクだよ。あるじ~ しゃべらなくても、僕に伝えたいって思うだけで良いんだよ・・・) 

なんだって? ? 


(こうかな? ムンク、私はヨシノだよ)

(あるじ~ そうそう、それで良いんだよ、これは念話、特に僕とあるじは従魔契約で繋がっているからね、簡単にできるんだよ)

(分かった、なんかすごく便利に話ができるんだね)

(そうそう・・・)


凄いな、スライムと話せる、しかも他人に知られることなく会話が出来るなんて・・・


「さあ、もう行きなさい、好きなように生きれば良いわね・・・ あと、困ったことがあれば、その子を通して私に連絡をよこしなさいな?」

「はい、わかりました。いろいろ、ありがとうございます。では・・・出かけます・・」




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